あの「エル・マリアッチ」のロバート・ロドリゲスが、あの「デスペラード」のロバート・ロドリゲスが、あの「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のロバート・ロドリゲスが、あの「パラサイト」のロバート・ロドリゲスが……
子供が主役のファミリー向けスパイ・コメディを撮っているとの噂が伝わってきたとき、おれは正直失望に似た脱力感を禁じえなかった。
この時期、日本中の映画館がシネコンに塗り替えられ、そこではファミリーかカップルをターゲットにした映画が優先された。特に昼の時間帯はそればっかり。利益の出ない映画は上映しない。経済の基本だから仕方がない。
むかしむかし名画座や二番館で上映されていた、2本立て3本立てが似合う、上記のロドリゲス映画のような、安っぽくてくだらないけどちょいと面白くて元気が出る映画(昼間ぶらぶらしているおじさんが、暇つぶしに切符を買うような映画)の居場所が、どんどん消えていった。昼間は日本語吹替え版ばかり、字幕版はレイトの1回のみとか!
そんなときに、あのロドリゲス製作のファミリー・ムービーが全米大ヒットのニュース。
ロドリゲス、お前もか!
「スパイキッズ」シリーズは、近場のシネコンで見た。
3作とも日本語吹替え版。ファミリー映画だから、吹替え版しか上映してなかった。
当然のごとく客は子供連れのファミリーばかり。おっさん一人ですごく居心地が悪かった嫌ぁーな記憶だけが今でも残っている。
ストーリーはベタで、米ソのスパイだったアントニオ・バンデラスとカーラ・グギーノが冷戦終結後に引退し結婚。ふたりの間に生まれた姉弟のスパイ・コンビが、子供型ロボットで世界征服を企む悪い組織と、テレビゲーム感覚で戦う。ボス・キャラはキッズ番組の人気者ピーウィー・ハーマン(アラン・カミング)。「ウルトラマン」の星野少年が大嫌いだったけど、この姉弟コンビはどうにか見ていられた。デジタル技術で制作された兵器ガジェットが次々と繰り出されるのが趣向。007シリーズのパロディといっていい。
エログロ抜きでも、ロドリゲスらしさは全開しているので、彼のファンには(子供向けだけど)楽しめると思う。ラストにジョージ・クルーニーが出てきて何か得した気分になる。ちょこっと顔出しただけなのに。
点