ソビエト連邦時代に打ち上げられたロシアの通信衛星にトラブルが発生。地球に向って落下を始める。
衛星の誘導装置はアメリカから盗まれた設計図によって製造したもので、設計者はクリント・イーストウッド。彼でないと旧式の装置は修理できない。
設計図はNASAの責任者ジェームズ・クロムウェルのファイルから盗まれていた。彼は情報漏洩の業務ミスを隠蔽しまま、内密に事を片付けようと企んでいる。
かつて宇宙を目標に訓練していた、そして計画の中止でその夢を絶たれたパイロット・チームの男たちが、再び招集される。メンバーは、イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーの4名。管制室から見守るのはウィリアム・ディヴェイン。20世紀映画少年にお馴染みマッチョなスターの揃い踏み。
トミー・リーだけ世代が一回り年下。ここにバート・レイノルズを持ってきてたら、完璧なキャスティングになっていたと思う。
前半はパイロット引退後にそれぞれの人生を営んでるメンバーを、イーストウッドが勧誘して回る。「七人の侍」風でほのぼのと面白い。
中盤は40年ぶりに宇宙に挑むための体力テストと訓練。七十前後のジジイたちが滑稽に演じる。4人のオールヌードも見られる。
ドナルド・サザーランドはコメディリリーフ。トミー・リーはラブシーンも用意されていて儲け役。最年長(当時72歳くらい)のジェームズ・ガーナーはあまり目立たない。
後半はいよいよ宇宙でのミッション。特撮はジョージ・ルーカスのILM。いきなり違う映画に差し替えられたかのような違和感。巨大な衛星が無重力空間でバラバラに壊れていく様は圧巻。さすがILMと感心した。
ロシアの人工衛星が核ミサイルを装備した軍事兵器だったという予定調和なヒネリがあって、トミー・リーが自己犠牲覚悟の活躍をみせ、余命と引き換えに40年前に果たせなかった月面旅行を遂げる。
エンドクレジットに流れるのは、シナトラの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」。
たぶん、1998年に77歳でスペースシャトルに乗ったジョン・グレンのニュースに着想して製作されたのだと思う。映画の中でもジョン・グレンの名前が出てくる。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の協力を得ているので、衣装や美術は現実感がある。
1984年の「ライトスタッフ」はかなり参考にされていると思う。超音速ジェット機のファーストシーンのほか、訓練シーンなどが似ているように感じられた。
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