「我が家の楽園」に続き、ジェームズ・スチュワート&ジーン・アーサー主演。その他、脇で出ている役者数名がカブっている。「我が家の楽園」と続けて見たから、政財界の黒幕を演じているエドワード・アーノルドに「あんた、さっき改心したんじゃなかったの」と言いたくなった。
義理と良心の板挟みに立ちながら悪役にならざるを得ないペイン上院議員役のクロード・レインズが抜群によい。議長のハリー・ケリーは儲け役だろう。
素朴な田舎の青年が都会に出て大恥をかき、誠実と良心を武器に大逆転するストーリー。
田舎者を馬鹿にしつつ、その無垢なる誠実さに惚れてしまう女性を「オペラハット」と同じくジーン・アーサーが演じている。前作で描かれた財界の舞台を政界に置き換えただけのようにも思える。
ユーモアと恋愛が少なくなって悪役の悪どさが強くなったぶん、シリアスな印象だが、「ポケット一杯の幸福」(「一日だけの淑女」)と同様、ありえない良心が唐突に現れて、どんでん返しのファンタジー。
とは言え、ご都合主義の一言で片付けるのは勿体ないと思わせるのがフランク・キャプラのマジック。斜に構えてバカバカしいと口に出す自分が嫌になる。
理想の夢を見ることの楽しさ、素晴らしさ。嘘話と分かっていながらも、心の底ではそれを欲している。まだそこまで自分はヒネてないぞ、いまでも何処かに純真なものを持っているんだぞ、と。
主人公の主張は真摯な正義のように見えるけど、一方大恐慌時代にあって、失業者雇用対策のダム建設が(悪役の私利私欲が裏にあるとはいえ)子どもたちのキャンプ場に潰されてしまうのは、それはそれで歪んでいるようにも思える。
政治が人情に動かされたら、やっぱりいかんでしょう。
わざわざ田舎から連れてきた伝書鳩は(編集段階でカットされたのか?)活躍の場がなかったね。
日本公開は日米開戦直前の1941年10月。
点