ロスコー・アーバックルの紹介で映画界入りしたキートンの監督第1作。
悪党一味が企てた暗殺騒動に巻き込まれるキートンのドタバタ劇。
デブ君喜劇の常連アル・セント・ジョンが友情出演している。
とてつもなく早い回転のメリーゴーラウンド(ヒッチコックかよ!)で新聞紙を掠め取り、それをベンチで読もうとすると、裁断されていない一枚の紙に広がるという他愛のないギャグからスタート。お喋りに夢中な警官の拳銃をバナナとすり替えて、空き瓶で射撃練習(この場面にセント・ジョンが登場)。
町の射的場で仕事にありつき、店番を頼まれ、紐で犬をコントロールする仕掛けのギャグ。ペンキで描いたフックが実際に帽子掛になっちゃうキートンらしい小ネタも入る。
射撃場の地下室は、実は悪党一味「禿鷲団」のアジト。キートンもメンバーに加入させられる。彼らが交わす同士であることを証明するサインが子供じみて実に面白い。見た人は誰もが一度は真似するはず。
その後(インチキな)射撃の腕を買われたキートンは、裕福な男のボディガードに雇われる。悪党一味が暗殺を企てているのがこの金持ち紳士で、キートンは敵と味方の双方に席を置くジレンマ。黒澤明「用心棒」の原型パターン。
いったんは偽装工作で誤魔化したものの、すぐにバレて追いかけっこのドタバタとなる。落とし穴や隠し扉の仕掛けと、上下左右4コマの室内移動がスピーディに展開。
しかしキートン本人は映画の出来に満足がいかなかったらしく、本作が劇場公開されたのは次の「文化生活一週間」(1922)のあと。常軌を逸したシュールな「文化生活一週間」に比べたら若干おとなしい内容ではあるものの、決して見劣りするものではない。
MGMに移籍するまでのキートン映画はどれもが名作。何度見ても面白い!
点