医療ミスで植物人間にされた女性の訴訟をポール・ニューマンが引き受ける。最初は示談金目当てだったのが、被害者の病室を訪れ正義に目覚め、裁判に勝つためには手段を選ばない被告側弁護士ジェームズ・メイソンと法廷で対決する。
スジだけ抜くと単純明快なハリウッド娯楽映画。
「十二人の怒れる男」でデビューし、舞台演出に長けたシドニー・ルメットの本領発揮。無駄なく構成された脚本(デヴィッド・マメット)を的確に演出。
ポール・ニューマン、ジェームズ・メイソン、ジャック・ウォーデン、シャーロット・ランプリングといったスター級だけでなく、出番の少ない脇役まできっちりした芝居をみせる。
ボストンを舞台としたプロダクション・デザインも完璧。
人工呼吸器に繋がれてベッドに横たわる被害者。ポラロイド写真が現像されるまでをじっくり見せ、主人公の感情の変化を描いたショットが秀逸。
ランブリングからの電話のベルに応じないポール・ニューマンのラストシーンが、深い余韻を残す。
ジョニー・マンデルの地味な劇伴が少しだけ使われている。
点