特ダネを狙いの取材で新聞記者に騙された富豪令嬢が、仕返しに「私は彼と婚約した」とガセネタを他社にリークする。しがないヤクザな記者が全米一の金持ちと結婚かと、一躍注目の的となって取材される側に立場が逆転。
ハリウッド黄金期の人気スター、タイロン・パワーとロレッタ・ヤングの共演のスクリューボール・コメディ。
新聞記者と富豪令嬢のカップルは「或る夜の出来事」と同じ。
1930年代は新聞記者が主人公な映画が多い。
金持ちなヒロインが留置場に入る話は「赤ちゃん教育」よりも1年早い。
令嬢と新聞記者が仲違いしながら、お互いに恋愛感情が芽生える過程をどのように展開させるのか、脚本家の腕の見せどころ。
製作当時のファンションや風俗(クレーンゲームやスロットマシンなど)が楽しめる。
ハリウッド黄金期には年間10本くらい主演作があったタイロン・パワーとロレッタ・ヤング。ゲイリー・クーパー、クラーク・ゲーブル、ジェームズ・スチュワート、ケイリー・グラントと並ぶスターだったタイロン・パワーだけど近年は人気が落ちてる。
ロレッタ・ヤングも、クローベット・コルベール、ジンジャー・ロジャース、バーバラ・スタンウィック、キャロル・ロンバード、キャサリン・ヘプバーンあたりに比べると、ずいぶん知名度が下がってしまった。
監督のテイ・ガーネットも多作で、1930-40年代に数多くの映画を撮っているのだが、いまでは「郵便配達は二度ベルを鳴らす」くらいでしか名前を知られていない。
半地下のバーから出ていったタイロン・パワーを、自動車を避け通行人をかき分けながら追いかけるロレッタ・ヤングの移動撮影がダイナミックで良かった。
衆目を浴びながらのキスでハッピーエンド。
ダリル・F・ザナックの20世紀フォックス製作。
別題「狙はれたお嬢さん」。
点