貴族主催の狩猟会に集う人々の恋愛遊戯を描いた、群像コメディ。
似たようなネタ(題材)の映画は、ベルイマンの「夏の夜は三たび微笑む」やウディ・アレンの「サマー・ナイト」を先に観ていたが、それらと比較するとワンランク上の出来で、ストーリーの性格上まどろっこしい展開ではあるものの、「大いなる幻影」と並ぶジャン・ルノワール監督の代表作であると思う。
登場人物の誰もが魅力的で、その多彩なアンサンブルは大人の才知が巧みに働いていて見事。パーティの最中に発砲事件が起こっているのに、それを余興として悠長に楽しんでいる貴族たちのなんと豊かなこと。
大西洋横断飛行した英雄(ローラン・トゥータン)の死でもさえ、貴族(マルセル・ダリオ)からは、ちょっとした事故(アクシデント)でしかない。そんなシニカルな視点を持ちながら、誰もが愛すべき人物として捉えられているところに、ルノワールらしいおおらかな人間観が感じられる。
ココ・シャネルの衣装や美術も贅沢で豪華、当時のフランス貴族趣味を満喫できる映画。
ルノワール自身も貴族の親友役で出演している。貴族と一般人との橋渡し、ストーリーの水先案内人といった役どころ。
点