CF界の奇才と呼ばれていた大林宣彦の、劇場用初監督作品にして代表作。
アイドル、ポップ、パラパラマンガ風、チープ、合成画面、反戦、サイケデリック、カラフル、郷愁ノスタルジア、ファンタジー、パッチワーク、オッパイ、少女趣味、まだまだいろいろありそうだが。大林映画のすべてが、このデビュー作に全部詰め込まれている。
ということで、この映画が肌に合わなかった人は、あとの作品どれ見ても合わないと思う。おれも「水の旅人」あたりまでは(劇場で)付き合ったが、(歳食って)バカバカしくなり、お付き合いをやめた。NHK資本の「ふたり」とか、ええ歳こいたおっさんが見る映画じゃない。
とは言え、この監督さんがエポックメイキングな存在だったことは確かで、大林の前に大林なし、大林の後に大林なし、くらいのことは書いておく。
なにしろ、フィルムのコマ単位でごちゃごちゃ小細工する独特の編集は、誰も真似できない、真似しようとも思わない。おれも編集やるからだいたい分かるが、この人のポスプロって狂気じみていたんじゃないかと思う。キング・オブ・フィルムフェチと呼んでもいい。アニメと同じ感覚で1秒24コマのフィルムを弄ってたに違いない。こんな映画監督、世界中探したって他にいない。
映画のサントラ盤は公開の半年くらい前に販売された。当時、日本映画のサウンドトラック盤(LP)は、「砂の器」と「八甲田山」くらいしか店頭に置いてなく、そもそも作られていなかった。前年に大野雄二の「犬神家の一族」がヒットしたので、ようやく日本映画のサントラ盤も商売になると踏んでのリリースだったのだろう。
いまでも天気の良い日に散歩してると、ミッキー吉野の「HOUSEのテーマ」を口笛で吹きたくなる。と同時に、女の子たちが夏休みの思い出つくりに田舎に旅立つ場面を思い出してワクワクした気分になる。サウンドは(おれが作る音楽なみに)チープだが、名曲だ。
点