双頭の鷲|映画スクラップブック


2021/02/27

双頭の鷲

双頭の鷲|soe006 映画スクラップブック
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L' AIGLE A DEUX TETES
1947年(日本公開:1953年06月)
ジャン・コクトー エドウィジュ・フィエール ジャン・マレー ジャック・ヴァレーヌ シルヴィア・モンフォール ジャン・ドビュクール イヴォンヌ・ド・ブレー

多彩な芸術分野で活躍した(今風にいえばマルチ・アーティスト)ジャン・コクトーによる恋と陰謀の宮廷劇。
舞台となっているオーストリア風の国家は架空のものと最初にクレジットされるが、モデルはあるらしい。その類の知識に疎いのでよくわからんけど。

10年前に国王が暗殺され未亡人となった王女(エドウィジュ・フィエール)と、彼女を暗殺するべく城に侵入した若きリベラリストの刺客(ジャン・マレー)との恋を、古典劇そのままのロマンチシズムで描いている。
シェークスピアをかなり意識したストーリーで、劇中でも「ハムレット」が朗読される。

双頭の鷲

城内のセット(美術)、衣装が、ことごとく素晴らしい。本場欧州の皇族趣味がこれでもかとばかり絢爛に溢れている。

しかしなんと言っても最大の見ものは、ヒロインを演じたエドウィジュ・フィエール(撮影当時40歳だったらしい)の気品に満ちた美貌! そのウェストの細さ!

双頭の鷲:エドウィジュ・フィエール

屹立として感情を抑制しつつ、漏らしてなお堕ちない威厳と品位。こんな凄くて美しい女優をいままで知らなかったなんて。
ジョルジュ・ランパン版の「白痴」にも出演しているとのこと。
ドストエフスキーの「白痴」は40年くらい前に黒澤明版を池袋文芸坐のオールナイトで観ているが、あのときの原節子も美しかった。外に威圧的で内に自虐的なナスターシャ役はさぞ素晴らしいと思う。近いうちにDVDを探してぜひ観てみたい。

映画の序盤、王女は王の喪に服していて、顔は黒いベールで隠されている。素顔が現れるのは15分後くらい。さらにジャン・マレーの刺客登場はその後5分くらい経ってから。

双頭の鷲:ジャン・マレーとエドウィジュ・フィエール

それまでの話がなかなか呑み込みづらいのは(先に書いたように)19世紀の欧州事情に疎いから。製作当時の仏蘭西の観客には「ああ、これってあの話ね」ってすんなり理解されたのだろう。

ラストの階段落ちはジャン・マレー自身がスタントなしで演っている。すごい。

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