町の雑貨店で強盗騒ぎを起こしたフランキー・ダーロをリーダーとするストリート・ギャングたちは、家庭裁判所の裁定により矯正学校へ移送される。
彼らが収容された矯正学校は学校とは名ばかり、サディスティックな所長ダドリー・ディッグスが大人の暴力で子供たちを服従させている(「仮面の米国」で描かれた労働刑務所の少年版といってもいい)劣悪な施設だった。
人一倍反抗心が強く頭もキレるフランキーは、真っ先に所長に目をつけられる。
フランキー・ダーロは、キャグニーの弟と言ってもいいくらい素振りや目つきを似せて、不良少年の役を演じている。
導入部で描かれるストリート・ギャングたちは、まだ幼い子供もいて「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を想起させる。彼らのほとんどが家庭環境に問題があり、親がまともな英語を話せない移民も多い。
ジェームズ・キャグニー主演というだけで予備知識一切なく見始めたので、ここまでの経緯をみて、成長したフランキーが施設を出たあとギャング(キャグニー)になって、暗黒街のボスにのし上がっていく話だと思ったが、違った。
この矯正学校に、局長代理として視察に来るのがジェームズ・キャグニー。
選挙の資金調達、票集めに働いた見返りとして、表向きの肩書を与えられているが、正体は政界と癒着している暗黒街のボス。
彼自身スラム街出身で裏稼業で飯を食っている身であり、少年たちを囚人扱いしている施設の運営が気に入らない。保健士マッジ・エヴァンスから改革案を聞いたキャグニーは、それを実行するため、管轄当局に圧力をかけて自ら主事代理となり、所長に長期休暇をとらせて監視職員を解雇。少年たちが施設を自主運営するシステムを作る。
少年たちの少年たちによる少年たちのための施設運営が軌道に乗ったところで、キャグニーは本業のほうでトラブルが発生したとの連絡を受ける。ボスの不在中に部下が謀反を起こした。裏切り者と争っている最中に銃が暴発、相手は重症を負い、キャグニーは潜伏を余儀なくされる。
矯正学校は休暇を終えた所長が再び牛耳るようになり、運営は元の強制服従に戻される。抗議したマッジ・エヴァンスは施設を馘首になる。反抗したフランキーは独房に入れられる。彼に食べ物を与えようと盗みに入ったハロルド・ヒューバーは職員に捕まってしまう。仲間の名前を白状するよう迫られても頑として口を割らず、独房に閉じ込められたハロルドは、流感をこじらせて死亡する。
ハロルドの死によって怒りを爆発させた少年たちは、施設の倉庫を襲撃、武器を手に入れて所長を拉致し、裁判にかける。有罪判決が下された所長は少年たちの怒りに怯え、窓から飛び降りて逃亡を図るが、少年たちはどこまでも追いかけてくる。逃げ場を失った所長は納屋の屋根に上り、火をかけられて墜落死する。
マッジ・エヴァンスによって施設の状況を知ったキャグニーが駆けつけ、少年たちは彼の説得によって騒ぎを収める。
所長の死は調査の結果、過失死と裁定され少年たちは罪を咎められない。
キャグニーは暗黒街から足を洗い、矯正施設の運営に専念する。
キャグニーとマッジ・エヴァンスの恋愛要素が邪魔にも思えるけど、映画は娯楽と割り切って見れば、それほど大きな疵でもない。少年たちの暴動シーンが怖いくらい迫力があるので、駆け足でお座なりなハッピーエンドのラストも悪くない。
フランキー・ダーロはじめ少年たちの演技が素晴らしい。
演技とは思えないほど自然で素晴らしい。
点