MGM ザッツ・エンタテインメント!|映画スクラップブック


MGM ザッツ・エンタテインメント!(5本)

2020/04/16

オズの魔法使

オズの魔法使|soe006 映画スクラップブック
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THE WIZARD OF OZ
1939年(日本公開:1954年12月)
ヴィクター・フレミング ジュディ・ガーランド バート・ラー ジャック・ヘイリー レイ・ボルジャー ビリー・バーク マーガレット・ハミルトン

MGM謹製子供向けミュージカル。他愛のない童話原作のおはなしなんだけど、色彩豊かで音楽も賑やか。子供向けとはいえ、美術セット、特殊メイク、オーケストレーションなどに手抜きはなく、ストーリー以外はぜんぜん安っぽくないところがさすがのMGM。竜巻が襲ってくる特殊撮影なんか、すごい迫力で恐ろしい。飛猿軍団のワイヤー・アクションも見事。マンチキンは全米のサーカス・見世物小屋から集めたんじゃなかろうか。監督も何人か途中交代してることだし。かなりの手間とお金がかかっているのでしょう。子供騙しもここまで豪華だと、理屈ならべてどうこう言うのは野暮。アメリカで長く愛され続け、人気を得ている映画だけのことはある。

何度も観ている映画だし、製作についての薀蓄はいろんなところで書かれていて(DVDにも50分の紹介ビデオが付属してる)、いまさら語るべきことは何もない。
童心に還って、のんびり素直に愉しめばよろし。

65

2020/04/12

錨を上げて

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ANCHORS AWEIGH
1945年(日本公開:1953年06月)
ジョージ・シドニー ジーン・ケリー フランク・シナトラ キャスリン・グレイソン ホセ・イトゥルビ ディーン・ストックウェル

上陸許可を得た艦隊勤務の水兵さん2人組が、ハリウッドで4日間の恋人探し。
オープニングとエンディングに演奏される吹奏楽「錨を上げて」の高揚感! 明るく楽しい、MGM謹製ミュージカル・コメディ。

フランク・シナトラはサミー・カーン=ジュール・スタインのラブソング3曲(「ホワット・メイクス・サンセット」「チャーム・オブ・ユー」、「アイ・フール・イン・ラブ・トゥ・イージリィ」)を甘ったるく歌い、ジーン・ケリーはダイナミックなダンスを披露。
シナトラとケリーのデュエット・ダンスも愉快軽快。タップ踏むとき、ケリーの視線は正面向いてるのに、シナトラは足元ばかり気にしてるのが微笑ましい。「ザッツ・エンタテインメント」では、シナトラが「私がケリーにダンスを教え、私はケリーから歌を教わった」とか言ってたっけ。このころまでのシナトラは、これでもかってばかりに頬が痩けていたね。

他愛のない恋愛コメディではあるが、指揮者でピアノ奏者のホセ・イタービ(字幕ではイタルビと表記)のアクロバティックなピアノ演奏や、シナトラが一目惚れするキャスリン・グレイスンのコロラトゥーラなど見どころ満載。トム&ジェリーとアニメ合成されたケリーのダンスが最大の呼び物。いかにもMGMらしい娯楽ミュージカル。
MGMのスタジオをそのまま使い、ばかでかい野外音楽堂(ハリウッド・ボール)をロケしているのも、製作当時の記録として貴重。

海兵隊に憧れる男の子、メキシコ酒場でケリーとダンスする女の子も可愛かった。
「巴里のアメリカ人」でも子供たちと「アイ・ガット・リズム」を歌っていたけど、ジーン・ケリーは子供と遊んでるときに、すごくいい笑顔をみせるね。

ホセ・イタービ(イトゥルビと表記されていることが多い)は、その名前を冠したピアノ・コンクールが現在も開催されていることから、ある程度の格あるピアニストだろうと察するが、日本では無名に近い。この映画で見る限り、派手な演奏スタイルや、18人のピアニストでリストの「ハンガリー狂詩曲」を演ったりと、道化として人気があったのだろうか? 「オーケストラの少女」のレオポルド・ストコフスキーみたいなキャスティング。著名な音楽家の善意で話を強引に締めるところも、「オーケストラの少女」に似ている。

そのストコフスキーは、1940年の「ファンタジア」でミッキーマウスと共演していたが、この映画でも、当初はケリーのダンス相手にミッキーを考えていたとのこと。交渉したところディズニーに一蹴されてジェリーに変更。トム&ジェリーは水着の女王エスター・ウィリアムスとも共演(日本未公開だが「ザッツ・エンタテインメント」で見ることができる)。
ケリー&ジェリーの合成ダンスはほんとうに見事。対抗意識を燃やしたディズニーは翌46年「南部の唄」で実写とアニメを合成したミュージカル(「ジッパディドゥーダー」とスプラッシュマウンテンで有名な)「南部の唄」を製作した。人権団体からの抗議があって、「南部の唄」は現在は上映できない。ビデオ販売・ネット配信も停止しているらしい。

いろんな見せ場を詰め込んでいるものの、2時間20分の上映は長尺で、各エピソードが平坦に並べられている感じ。撮影所のカフェテラスでキャスリンとイタービが鉢合わせしちゃうあたりからの流れはご都合主義の極みで、MGMミュージカルでなきゃこんなストーリー、ゴミ箱にポイだよ。

太平洋戦争末期の1945年夏アメリカ公開。日本では好評だった「踊る大紐育」のあと, 1953年7月に公開されている。

60

2020/04/14

巴里のアメリカ人

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AN AMERICAN IN PARIS
1951年(日本公開:1952年05月)
ヴィンセント・ミネリ ジーン・ケリー レスリー・キャロン オスカー・レヴァント ニナ・フォック ジョルジュ・ゲタリ

この映画を観るのは、映画館上映を含めて今回で3回目か4回目。やっ巴里、印象派絵画をモチーフにしたセットの「パリのアメリカ人」のダンスが圧巻。ガーシュインの音楽とテクニカラーの色彩が、映画の楽しさを倍増させている。ジーン・ケリーのダンスもさることながら、エキストラ・ダンサーの配置、動き、衣装、美術、そして照明が素晴らしい。ここが最大のポイント。そんな理由で何度も観てしまう。アーサー・フリード&ビンセント・ミネリの洗練されたセンスが輝く、永久保存のダンスナンバーだよ。

その終盤の見せ場に持っていくまでのストーリーは、ありきたりで他愛のないものだが、芸術の都パリに憧れ、第二次大戦後に居残りした米国人の、ボヘミアンな生活雰囲気がなんとなく表現されているし、老齢の女性2人をダンスに加えた「バイ・シュトラウス」、ケリーが子供たちと遊ぶ「アイ・ガット・リズム」、オスカー・レヴァントの「へ調の協奏曲」やジョルジュ・ゲタリーのステージ・ショー「天国への階段」などあって退屈はしない。
「ス・ワンダフル」は「パリの恋人」よりもこちらでの使い方のほうがマッチしている。歌ってるケリーとゲタリーに挟まれたレヴァントの仕草(小芝居)が面白い。

新星レスリー・キャロンの紹介を「踊る大紐育」の「ミス地下鉄」のダンスと同じ趣向でやってるが、「踊る大紐育」ほどインパクトは強くない。レスリー・キャロンのバレエは上手だけど魅力に欠ける。役柄としての制約もあるだろうけど、振付が「ミス地下鉄」ほどハッチャケてないからね。

夜のセーヌ河畔のダンスは、本作の「わが恋はここに」よりも、いまとなっては「世界中がアイ・ラヴ・ユー」のファンタスティックな「恋の終わり」(ウディ・アレン&ゴールディ・ホーン)に軍配があがる。逆に「天国への階段」は「巨星ジーグフェルド」の超弩級セットと比べちゃうから、テクニカラーでもやっぱり見劣りしちゃうのね。

それとおれは、レスリー・キャロンよりもパトロンのニナ・フォックのほうが(金銭抜きで)100倍魅力なんだよ。
無理やりなハッピーエンディングのあと、彼女がどんな心境になるか考えると、とても心が痛む。明朗快活がセールスポイントのMGMミュージカルで、観客(おれ)をそんな気持ちにさせちゃいかんです。

65

2020/04/13

踊る大紐育

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ON THE TOWN
1951年(日本公開:1951年08月)
ジーン・ケリー スタンリー・ドーネン フランク・シナトラ アン・ミラー ジュールス・マンシン ヴェラ=エレン ベティ・ギャレット

夜明けの湾岸、労働者が美声のバリトンであくび混じりに登場。停泊中の艦から午前6時ピッタリに水兵たちがわーっと降りてくる。キャメラが摩天楼をロングで捉え、観光名所をバックにジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシンが歌って踊って「ニューヨーク、ニューヨーク」。街を歩く都会の美女に目を奪われ、ジーン・ケリーはミス地下鉄(ヴェラ=エレン)のポスターに一目惚れ。「ミス地下鉄のダンス」にニコニコ顔で翻弄され、博物館の「原始人が好き」でゲラゲラ笑う。ウブなシナトラに積極的なベティ・ギャレットが釣り合わないとか、そんなの気にしない。これはMGMミュージカル。

なにしろ「錨を上げて」で4日間あった上陸許可が、今作は24時間で、しかも前作ではチョイ役の警官だったマンシンも加わって主役の水兵が3人。相手役の女の子も3人(プラス1)。テンポアップでスピーディに時間が進む。電光掲示板風に画面下に現在時刻を流しているのがスマート。

水兵の制服が白一色なのに対し、ヴェラ=エレン(赤)、アン・ミラー(緑)、ベティ・ギャレット(黄)と、テクニカラーの衣装も鮮やか。
ニューヨーク・ロケがふんだんにあって、いつものMGMミュージカルとは違った空気感があるのも新鮮でいい。もちろんジーン・ケリーの創作ダンス「ニューヨークの一日」もある。キャメラのパンが多用され、左右に流れる映像と音楽がリズミカルに連動している。音楽はレナード・バーンスタイン。ミュージカル映画に革命を起こした「ウエスト・サイド物語」まであと10年、その萌芽となった(と思うよ)。

個人的にMGMミュージカル・ベスト3のうちの1本。

70

2020/04/15

雨に唄えば

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SINGIN' IN THE RAIN
1952年(日本公開:1953年04月)
スタンリー・ドーネン ジーン・ケリー デビー・レイノルズ ドナルド・オコナー シド・チャリシー ジーン・ヘイゲン

アーサー・フリード&ナシオ・ハーブ・ブラウンによる往年のヒット曲を網羅したミュージカル・コメディの快作。トーキー移行期のドタバタ騒動をネタに、1926年前後の映画業界(MGM)を舞台にしているのが嬉しい。脚本、キャスト、使用楽曲、ダンス、色彩、すべて良好。個人的にMGMミュージカル・ベスト3のうちの1本。

DVDの特典が凄い。公開時にカットされていたデビー・レイノルズの「ユー・アー・マイ・ラッキースター」や、アーサー・フリードについてのドキュメンタリー「Musical Great Musicals」(86分)、デビーが案内役をつとめる本作についてのドキュメンタリー「What a Glorous Feeling」(35分)他、おまけが盛りだくさん。
特に嬉しかったのが、本作で使用されたフリード&ブラウンのミュージカル・ナンバーを、過去のMGM作品から抜粋して収録した「歌曲集」(50分)。「ザッツ・エンタテインメント」をはじめて観たときの感動を思い出したよ。

「暗黒街の顔役」のコイン遊びをパロったのは、ワイルダーの「お熱いのがお好き」(1959年)より、こちらの方が早い。当時はずいぶん流行ったんだろうな、と想像する。

75

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(16本)
70点 年間ベストテン候補(76本)
65点 上出来・個人的嗜好(72本)
60点 水準作(71本)
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としての感想メモ&採点
オススメ度ではありません