「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」

「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」

December 3, 2003

平成「ガメラ」三部作の金子修介監督による「ゴジラ」シリーズ25作目。
長谷川圭一(『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』)と横谷昌宏(『溺れる魚』)、金子監督の共同脚本。
前作『ゴジラXメガギラス』と同じく、第1作『ゴジラ』(1954)の後日談という設定。他の作品との関連性はない。
グァム島沖で消息を絶った米原子力潜水艦。捜索に向かった防衛海軍が、海底でゴジラと思われる生物を発見。<……『キングコング対ゴジラ』のオープニングと同じ趣向。

48年前、ゴジラの上陸で家族を失った防衛軍の立花准将(宇崎竜童)は、ゴジラ襲来を警戒するよう軍上層部に促すが、平和に慣れきった軍は自らの兵力を過信し、立花の提言は黙殺される。<……平和ボケ・ニッポンの国防意識を批判。なれど、立花准将の失望や苦悩が描かれていないので、インパクトに欠ける。
ゴジラ上陸後、作戦本部にて、「怪獣に呼び名は必要です」「お前、何だか嬉しそうだな」と、呑気なやりとりがあるが、これはマニア向けのお遊び。『ガメラ』の繰り返し。かえってシラケる。これら組織の中での苦悩をキチンと描いていないので、クライマックスに立花准将が、俺がやらねば……と特攻を決意する使命感が表現されない。<……いや、それ以前に、大勢の兵隊たちが尊い生命を犠牲にしている。ラストの、ゴジラを討伐して立花が無事帰還したとき、作戦本部の全員がニコヤカに笑っちまうのは演出が間違っている。あの場面で笑っていいのは、立花に個人的な感情を抱いている(と思われる)南果歩だけでしょ?

平行して描かれるのが、今回リニューアルされた怪獣の属性変更の説明(状況設定)。いかがわしいオカルト番組を制作しているデジタル放送局のリポーター(立花准将の娘・新山千春)と、その友人のフリーライター(小林正寛)が、謎の老人(天本英世)と接触することにより、ゴジラ復活の謎に迫る。
ゴジラは、太平洋戦争で命を散らした人々の残留思念(怨念)の集合体であり、ゴジラから大和の国を護るべく聖獣たち(バラゴン、モスラ、ギドラ)が永い深い眠りから覚醒する。またラストで明らかになるが、この老人もまた幽霊だった、というオチ。<……この解釈が怪獣マニアに賛否両論を喚起して、こんなものゴジラ映画じゃないとの論争が、公開当時繰り広げられた。
俺は……面白けりゃどっちでもイイと、言っておこう。
ゴジラが白目だろうが、キングギドラの首が短かろうが、俺はどうでもいい。

ただ、ひとつだけ現在のシリーズに苦言を呈しておくと……
ゴジラと防衛軍の攻防戦にばかり焦点が当てられていて、昭和のゴジラ映画(監督:本多猪四郎/脚本:関沢新一)にあった、破天荒で縦横無尽なアイディアが皆無ってこと。新怪獣でもリバイバル怪獣でもいいが、他の怪獣が登場しても、ただの客寄せ材料(フィギア等の販売目的)に過ぎず、最終的に防衛軍とゴジラの戦い以外、なにも描かれていない。
今回も同様で、バラゴン、モスラ、キングギドラが登場しても(どいつも弱っちいので)クソの役にも立たず、ゴジラ侵攻を阻止することは出来ない。
『三大怪獣・地球最大の決戦』(1964)で、お婆ちゃんが愉しみにしているテレビのバラエティ番組にモスラが出てきて、リアルな茶の間と架空のインファント島がダイレクトにつながったような卓越したアイディアが、怪獣騒動のサブ・ストーリーに施されていた生活感が、いまの「ゴジラ」シリーズにはない。
平成「ゴジラ」で唯一アイディアを評価できるのが、大森一樹(監督/脚本)の『ゴジラVSキングギドラ』(1991)。タイムマシンを使ってゴジラを消滅させようと企んだり、未来のテクニックでキングギドラをロボット化したり(それに乗り込んで操縦するってのは馬鹿馬鹿しいが)、面白かった。

だから、単純なアイディアと生ぬるい特撮に飽きていた怪獣ファンは、平成「ガメラ」に喝采を贈った。
だから、平成「ガメラ」の金子修介に、新しいゴジラを期待したんだよね。

期待は、半分裏切られ、半分叶えられた。

ストーリーは……護国聖獣とかの屁理屈を展開するなら、ちゃんとやって欲しかった。
1作目のように、ゴジラをアンチ・テクノロジーや反戦のメタファーとして描くのも可。しかし、それをストーリーのなかで合理的に説明してしまっては、つまらない。
まして中途半端な説明なら、無い方がまし。

動物的な本能で日本に上陸したイノセントなゴジラが大暴れ。
その被害で地下が陥没し、地底に眠っていたバラゴンが暴れ出す。
謎の巨大隕石を格納していた研究施設が騒動の煽りを喰らって火事になり、異常高温によって中に封じ込められていたキングギドラが復活。国防軍は、あの手この手と作戦を遂行するが、決め手に欠け、どれも成功しない。
騒動を収めるためインファント島からモスラもやって来て、ひっちゃかめっちゃかの大騒動。バラゴンはゴジラに負けて地下に逃れ、キングギドラは宇宙に帰ってゆく。
モスラはゴジラを海に追い返すが、力尽きて死んでしまう。
しかし、タマゴが孵って、2匹の幼虫がインファント島に帰ってゆく。
――終――

これでいいじゃん。

一方、怪獣騒動のリアルな特撮は、平成「ガメラ」シリーズを踏襲したもので、ヒステリックなほど残酷な描写は、いままでの「ゴジラ」シリーズになかったものとして評価したい。

今度の映画では、かなりの人間が死んでいる。
これまでのシリーズだって、ゴジラの通り道になってしまった場所は、屍が累々としていたに違いない。けど今回は、人が死ぬ場面を次々と描写している。
「同じ地球に住む生き物なのに、殺しちゃうなんて可哀相」とダベっていた女の子(篠原ともえ)を殺し、バラゴンを可愛いと言って記念写真を撮ろうとした観光客(近藤芳正と奥貫薫)を殺し、「ゴジラは赤くねえ」と博識ぶりを示した漁師(中村嘉葎雄)を殺す。
怪獣に好意をもっていたり同情的だったり、詳しかったりする登場人物を殺す場面が印象的。<……まるで、いい歳して怪獣映画なんぞにウツツを抜かしている莫迦は、みんな殺されちまえって言われているみたいな気分。
どうせなら、ヤラセ番組を制作しているBS放送局の連中も皆殺しにすれば良かったのに。

演技陣は、総崩れ。
特にメインの宇崎竜童、新山千春の「独り善がり」の演技、滑舌の悪さが苛々させる。
子どもが観る映画なんだから、ちゃんと意味が聞き取れるように喋って欲しい。
それでなくても護国聖獣とか英霊の怨念だとか、平和ボケしたニッポンの子どもには、分かりにくいストーリーなんだから。

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