ドゴール大統領暗殺計画を描いたフレデリック・フォーサイスのベストセラー小説(フィクション)を、フレッド・ジンネマン監督で映画化。
殺し屋エドワード・フォックスは地味。それを追うフランス司法警察のミシェル・ロンスダールはもっと地味。派手なアクションもなければ、感情を昂ぶらせるドラマもない。凝ったカメラワークもない。シーンを盛り上げる煽りの音楽もなし。添加物を一切入れてない、甘味料も入ってない。
ジャッカルが犯行に用いる偽装ライフルも(まるで007のような新兵器だけど)ことさら凄いもののように見せず、ひたすら静かに淡々と描く。無駄、遊び、緩みがない。セリフはギリギリまで削られている。映画のリアリズムとはこのこと。極上サスペンス。
フレッド・ジンネマン、おれが考えている以上に凄い監督さんなのかも知れない。
クライマックスの、記録映像との(たぶんスクリーンプロセスで)合成ありきで逆算した演出だと思う。全体がドキュメンタリー風に撮られていて、終始ピリピリした緊張感に満ちている。暗殺が失敗したあともアッサリしていて、ジャッカルの正体が謎のまま終わるのもいい。
アメリカ映画ではそれが慣例になっているとは言え、フランス人が英語喋っているのはやっぱり嫌だ。瑕瑾ではある。
点