銀行強盗騒ぎの流れ弾で死んだ少年の母親(モーリン・オハラ)は、息子の遺体を亡夫と一緒の墓に埋葬するため、いまではゴーストタウンとなっている廃墟の町へと旅に出る。アパッチ族が出没し危険な道程を、肩を怪我して銃の扱いもままならないブライアン・キース他2名が護衛する。
アメリカの興行団体(映画館主)が製作した低予算西部劇。
テレビシリーズ「ガンスモーク」「ライフルマン」の脚本・演出を担当していたサム・ペキンパー、当時35歳の劇場用映画デビュー。憧れのジョン・フォード映画のヒロインを主役に映画デビューできるなんて夢のような話だと、浮足立って引き受けたに違いない。
ジョン・フォード映画でおなじみのモーリン・オハラが貫禄の熱演。タイトルバックに流れる主題歌も歌っている。こんな映画にそこまで熱入れなくても、と思わないでもないが。真面目な人なんだろうな。
と長いあいだ思っていたが…… どうやらモーリンと、製作者にクレジットされているチャールズ・B・フィッツシモンズは同郷(アイルランド・ダブリン)の親戚で、まずモーリンありきの企画だったみたい。
ヒロインを護送する三人組の背景がごちゃごちゃ凝ってるわりに、それがまったく生かされておらず、わずか3日前に最愛の息子を撃ち殺した男とデキてしまうハッピーエンディングが荒唐無稽。シナリオは原作者A・S・フライシュマン自身による脚色。
全編にだらしなく貼り付けられた安っぽい音楽が、さらにB級感を倍増させている。
イカサマ博打で首に縄をかけられている男がいきなり登場する冒頭や、子供の棺を数日間運搬するというグロテスクな設定(「ガルシアの首」みたいだ)、ラストの舞台を廃墟の町でロケしているあたりにペキンパーらしさを感じられないこともない。
らしいと言えば……
ペキンパーはほとんどの映画で水浴びシーンを用意している。
本作でもモーリン・オハラが水浴びする。こだわりがあるのだろうか?
点