我儘かつ見苦しい退役将校を演じた、アル・パチーノに圧倒される2時間30分。
「ビバリーヒルズ・コップ」のエディ・マーフィ、「ミッドナイト・ラン」のロバート・デニーロ、本作のアル・パチーノ。スター俳優にたっぷりな芝居をさせて、良いところを引き出す術に長けているマーティン・ブレスト。上手い監督だと思う。
寡作な理由がわからない。
パチーノの自殺をクリス・オドネルが説得するホテルの場面と懲罰委員会での演説シーンは(想像だけど)脚本家はめちゃくちゃ書き直したんじゃなかろうか。一歩間違えば紋切り型の陳腐なドラマになりかねない重要な場面。セリフがよく吟味されている。
ガブリエル・アンウォーとタンゴを踊る場面。
若い女の匂いを身近にしたパチーノに、愉悦の感情が溢れている。
懲罰委員会の後で、パチーノを称賛する女性教師(フランセス・コンロイ)に羞じらう仕草もいい。
タンゴ「ポル・ウナ・カベサ」と、花売り娘のテーマ「ラ・ヴィオレテラ」の使い方もうまい。
「女の香り SCENT OF A WOMAN」を「夢の香り」と意訳した副題はセンスがない。
なんか他に上手い邦題なかったものかと思う。
絶望の淵で自殺を計画する退役軍人、女好きで匂いフェチな盲人。
売りにくいタイプで映画ではある。
ダウンタウンのフェラーリ暴走はやり過ぎで嘘っぽくなってる。感心しない。
映画は、かつてニューヨークにこのビルがあったことを記録している。
点