1940年代の犯罪映画(2本)
2022/02/02
夜の人々
THEY LIVE BY NIGHT
1948年(日本公開:1988年04月)
ニコラス・レイ ファーリー・グレンジャー キャシー・オドネル ハワード・ダ・シルヴァ ジェイ・C・フリッペン ウィル・ライト イアン・ウルフ
殺人罪で収監されていた青年ファーリー・グレンジャーは仲間とともに脱獄、銀行を襲って大金を得る。隠れ家で知り合った娘キャシー・オドネルと恋に落ちた青年は、彼女を連れて仲間たちと別れる。長距離バスで逃げる途中にあった簡易結婚所で二人は結婚、娘は妊娠する。モーテルを転々としながら、二人はメキシコに逃げる夢を語る。
主役の若い二人が初々しく瑞々しい。バスで泣き止まない隣席の赤ん坊を抱っこする場面とか、ちょっとした芝居が新鮮で印象に残る。
エリア・カザンの助監督だったニコラス・レイの監督デビュー作。RKO製作。
ストーリー構成にメリハリがあり、車が走行するシーンの空撮も躍動感があって良い。
銀行の下見のついでに買った腕時計を娘にプレゼントする青年。同じ腕時計をクリスマスのプレゼントに買ってくる娘。腕時計はふたりが同じ時を生きている証となる。
「いま何時?」と訊く。繰り返しのセリフがいい。
「目を開けるとあなたがいるわ。猫になった気分よ」
「父親になれば男は強くなる」
犯罪を題材とした恋愛映画。
70点
#男と女の逃避行
#1940年代の犯罪映画
2022/02/03
拳銃魔
GUN CRAZY
1950年(日本公開:1952年12月)
ジョセフ・H・ルイス ジョン・ドール ペギー・カミンズ ベリー・クルーガー モリス・カルノフスキー アナベル・ショウ ハリー・ルイス ネドリック・ヤング ラス・タンブリン
拳銃好きが嵩じて少年院で子供時代をおくったジョン・ドールは、カーニバルの曲芸射撃ショーに出演していた二挺拳銃のペギー・カミンズと意気投合し、ショーの一座から抜けて結婚。贅沢な暮らしを求める女に唆されて強盗を重ね、西部の町々を渡り歩くうち次第に二人は追い詰められていく。
主人公の少年時代を「ウエスト・サイド物語」のラス・タンブリンが演じている。
土砂降りの雨に濡れながら銃砲店のガラスを破り拳銃を盗むファースト・シークエンスからキビキビした演出は見事。遊びでひよこを撃ち殺してしまった後悔が、女との恋愛関係に重要な葛藤をもたらす。設定が巧い。脚本にクレジットされているミラード・カウフマンは、ダルトン・トランボの変名だったらしい。
メリハリの効いたアクションシーンがいい。車の後部座席にカメラを置いてワンショットで銀行襲撃を撮るのは、この映画が先駆だったそうだ。
最初の方はヴィクター・ヤングの甘ったるい音楽が内容と合っていない感じがしたが、だんだん気にならなくなった。ダンスホールの歌とかヴィクター・ヤングらしい。
特筆すべきはペギー・カミンズの性悪女っぷり。堪らんです。
山田宏一氏の著書に「映画的なあまりに映画的な美女と犯罪」があるが、まさしく本のタイトルにふさわしい一編。すこぶる面白い。
70点
#男と女の逃避行
#1940年代の犯罪映画