バーナード・ハーマン：Decca フェイズ4 レコーディング
December 17, 2010
先日紹介した RCAのフィルムスコア・シリーズとほぼ同時期に英国デッカから発売されていたバーナード・ハーマンの自作自演集が、オーストラリア・ユニバーサルの廉価レーベルよりリニューアル・リリースされました。
英国デッカ（London）が開発したマルチトラック・レコーディング・システム（Phase4）によって、1968年から1975年ごろに録音され、音響効果抜群ということで当時たいへん注目をあびていたシリーズです。
オリジナルは、4枚のLPでリリースされました。
「グレート・ムーヴィー・スリラーズ」(1968年12月録音)
「グレート・フィルム・クラシックス」(1970年２月録音)
「ファンタジー・フィルム・ワールド」(1973年11月録音)
「ミステリー・フィルム・ワールド」(1975年２月録音)
最初の２枚「スリラーズ」と「クラシックス」はロンドン・フィル、あとの２枚「ファンタジー」と「ミステリー」はナショナル・フィルの演奏。指揮は作曲者のバーナード・ハーマン。
1996年にデッカ（ドイツ盤）がまとめて CD化した際に全体が３枚に編纂されており、私が現在所有しているCDも、このドイツ盤です。
たしか「ヒッチコック作品集」だけは国内盤もリリースされていたと思いますが、その後、カタログから消えて久しく、ドイツ盤も入手困難で、中古市場ではふざけんなバカヤローな高値がついておりましたですよ。
それがなんと、ハーマン生誕100周年を記念してオーストラリア・ユニバーサルの廉価レーベルよりリニューアル・リリースされたのは、なにはともあれ嬉しい出来事であります。
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Bernard Herrmann: Film Classics
Eloquence Australia
Disc1
『地底探検』
01. Mountain Top and Sunrise
02. Prelude
03. The Grotto
04. Salt Slides
05. Atlantis
06. The Giant Chameleon and the Fight
07. The Shaft and Finale
『シンドバッド7回目の航海』
08. Overture
09. The Duel with the Skeleton
10. Baghdad
『地球の静止する日』
11. Outer Space
12. Radar
13. Gort
14. The Robot
15. Space Control
16. Terror
17. Farewell and Finale
『華氏451』
18. Prelude
19. Fire Engine
20. The Bedroom
21. Flowers of Fire
22. The Road and Finale
『ガリバー旅行記』
23. Overture
24. Minuetto - Wapping
25. Hornpipe
26. Lilliputians 1 & 2
27. Victory 1 & 2
28. Escape
29. The king's March
30. Trees
31. The Tightrope
32. Lovers
33. The Chess Game
34. Pursuit
35. Finale
Disc2
『市民ケーン』
01. Overture
02. Variations
03. Ragtime
04. Finale
『ジェーン・エア』
05. Jane Eyre
『悪魔の金』
06. Sleigh-Ride
07. Swing Your Partners
『キリマンジャロの雪』
08. Interlude
09. The Memory Waltz
『ＳＦ巨大生物の島』
10. Prelude
11. The Balloon
12. The Giant Crab
13. The Giant Bee
14. The Giant Bird
『アルゴ探検隊の大冒険』
15. Prelude
16. Talos
17. Talos's Death
18. Triton
バーナード・ハーマン 指揮
ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団（Disc2 01-09）
1970-75年 ステレオ録音 |
今回は「ヒッチコック作品集」を除く LP３枚分が、２枚組にぎゅーっとまとめてあります。
で、こっちに入りきれなかった「ヒッチコック作品集」は、別の２枚組に収録。
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Bernard Herrmann: Cinema Spectacular
Eloquence Australia
Disc1
『リチャード3世』 ウィリアム・ウォルトン
01. Prelude
『アンナ・カレーニナ』 コンスタンツ・ランバート
02. Overture
03. Forlarne
04. Love Scene
05. Finale
『オリヴァー・ツイスト』 アーノルド・バックス
06. Fagin's Romp
07. Finale
『理想の結婚』 アーサー・ベンジャミン
08. Waltz
09. Galop
『嘆きのプレリュード』 ウィリアム・ウォルトン
10. Escape Me Never
『潜水艦轟沈す』 ヴォーン・ウィリアムズ
11. 49th Parallel (from The Invaders)
『来るべき世界』 アーサー・ブリス
12. Prologue
13. March
14. Building of the New World
15. Attack on the Moon Gun
16. Epilogue
Disc2
『サイコ』
01. Psycho: A Narrative for Orchestra
『マーニー』
02. Marnie: Suite
『北北西に進路を取れ』
03. North by Northwest: Main Title
『めまい』
04. Vertigo: Prelude
05. Vertigo: The Nightmare
06. Vertigo: Scene d'amour
『ハリーの災難』（ヒッチの肖像）
07. The Trouble with Harry: A Portrait of Hitch
『ハムレット』 ショスタコーヴィチ
08. Introduction
09. Ball at the Palace
10. The Ghost
11. Scene of the Poisoning
12. The Arrival and Scene of the Players
13. The Duel and Death of Hamlet
バーナード・ハーマン 指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団（Disc2 08-13）
1968年-1975年 ステレオ録音 |
『サイコ』、『マーニー』、『北北西に進路を取れ』、『めまい』、『ハリーの災難』は、自作自演ならではのたっぷりした演奏。
同時収録されているのは、バーナード・ハーマン指揮によるイギリス映画音楽集ですが、これが良いんです。素晴らしいんです。
ほとんど観たことない映画ばかりですけど、音楽は素晴らしい。
ジョン・バリーが出てくる前の英国映画界には、ハリウッドみたく映画音楽の専業作曲家ってあまりいなかったでしょう。ヴォーン=ウィリアムズやウィリアム・ウォルトンなどクラシック畑で仕事していた音楽家が、片手間副業とは思えないくらい立派な音楽を映画に提供していたんです。
アーサー・ブリスの『来るべき世界』とかランバートの『アンナ・カレーニナ』とか、掛け値なしに音楽だけ聴いても素晴らしい。
バーナード・ハーマンの素晴らしさについては、以前たっぷり書いているので繰り返しませんけど、興味ある方はこちらをお読みください。
バーナード・ハーマン／プロフィール
バーナード・ハーマン ヒッチコック作品集
バーナード・ハーマン グレイト・フィルム・クラシックス
豪州エロクェンスは、グラモフォン、デッカ、フィリップスのクラシック３大レーベルをリイシューしているユニバーサル系列の廉価盤レーベルで、しかし廉価盤ではあるものの、再発売に際しては最新技術を用いてリマスタリングしているので評判が良いレーベルであります。
先述しましたように、ハーマン自作自演盤も、英国映画作品集も、シェイクスピア映画集もドイツ盤CDで所有していますが、音質が向上しているみたいだし、買い直しもちょっとだけ考えています。
お金、余裕ないですけどね。
リマスター処理された音で『地底探検』のオルガンがぐぁーーーーーんと鳴るの、聴いてみたいのよ、ちょっとだけ。
