soe006 日本の伝統と日本語

この日記のようなものは、すべてフィクションです。
登場する人物、団体、裏の組織等はすべて架空のものです。ご了承ください。

日本の伝統と日本語

March 4, 2006

例えば、「パン」、「タバコ」、「コンペイトウ」……これらの言葉は16世紀にキリスト教伝道師や南蛮貿易によってもたらされ、そのまま日本語化している言葉なんですね。
例えば、「ガラス」、「ペンキ」、「コーヒー」、「ビール」……これらは鎖国政策中の17世紀、オランダ人が長崎出島を介して持ち込み、国内に伝搬、定着しちゃった外来語であります。
日本古来の伝統を重要視する方々は、これらの言葉は使用可であるのか、不可なのか?
さらに……

「知識」だとか、「恋愛」だとか、「常識」、「科学」、「発見」、「教育」などなど……これらは日本語の分類では近代新語と呼ばれている、明治以前は日本に存在しなかった新語であり、徳川幕府時代までは、これらの言葉は使われていませんでした。
へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜(< 死語)

日本に文字が輸入されたのは5世紀(古墳時代)。それまでも象形文字のようなものはあるにはあったけど、統一されたものではなかった。遣隋使/遣唐使によって持ち込まれた文字は、漢字。文は漢文。これがずっと長い間、明治政府が確立されるまで、公用とされていました。
カナ文字は、漢字の音を利用して作られた簡易文字。(かな文字もあわせて)純国産の文字ではありますが、自然派生的に出来たもので、キチンと整理されたものでなく、1900年(明治33年)に統一規格として47文字に整理されるまで、かなり多くの変体かな文字が混在。公用の文章に用いられることはありませんでした。
つまり、明治政府が日本の国語を、国語かくあるべしと制定するまで、日本語というものはなんでもアリの状態。狭く捉えるならば、漢文・漢語が国の公式文書であったのであります。

ここで重要なのは、日本語ってものは、常に外国からの圧力(というか影響)によって、いきあたりばったりに変容してきた言語であったという、歴史的事実なのであります。
明治の国語制定の後、大東亜戦争時の敵性語排除運動を経て、進駐軍占領下に新しい国語が見直されます。(ここでもやっぱり外国からの圧力があったわけですが……)このときの流れが、現在まで継続されています。

もうこうなると、伝統的な日本語を大切にしましょう、なんて議論は、すげえ馬鹿馬鹿しいものに思えてくるのですが、それでも、日本の文化、日本人の思想を重要視する方々の多くは、日本語の乱れをこのまま放置しておくべきではない、と主張されていらっしゃいます。(その中心となっていたのが、元朝日新聞論説委員の本多勝一氏だったってことはさておき……)

とはいえ、変な日本語を耳にすると、カチンとくることは多いです。
NHK−FM「気ままにクラシック」(日曜午後7時20分〜)の中澤裕子のだらしない喋りなど聞くに堪えない。くだらん喋りはいいから、さっさと音楽かけろよとイライラしてくる。逆に「ラジオ深夜便」を担当しているベテラン・アナウンサーの喋りは、安心して聞けますね。
いっぽう、テレビの時代劇を見ていて、「殿は事の重要さを認識されていない」、なんてセリフを聞くとどっとシラケてしまう。「認識」なんて言葉使っている時点で、この脚本家は2流だな、と分かってしまう。でも、「殿はノイローゼで伏せっておられる」なんてセリフがあると、それはそれで面白い。
意識しているか、いないかの違いでしかないんですけどね。
ストーリーが分かりさえすりゃ、言葉なんてどうでもいいんだ。そんな風に開き直られると、やっぱり、それは違うぞ、と思うわけです。

そんなこんなで、とりとめもなく、
日本語についての話は明日に続きますです。

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