日本語の乱れに歯止めをかける
March 6, 2006
だから、日本語ってそんなに変わってないし、乱れてなんかいませんって。
ここまでの流れをまとめてみると……
外国からの言葉は、こだわりなく何でも取り入れてきた。
以前からある言葉も、外国からきた言葉も、新しく作った言葉も、ゴチャゴチャに混在して使ってきた。
しかも、我々日本人はそれらを整理統一することなく、成り行きまかせでいい加減に扱ってきた。
それでも現代の日本語の80パーセントは、平安朝期からの言葉が占めている。
なんだかこの騒動、火付け役の本多勝一氏をはじめとした一部の文化人による、マッチポンプの匂いがしてきました。
とはいえ、私たちが日常生活をおくるなかで、新語・外来語(カナ表記・アルファベット表記)を目にする機会は多い。先の偉い先生の研究結果を疑いたくなるほどに、新語・外来語は巷(ちまた)に氾濫している。
なぜならば、先の研究は、現在、発行・刊行されている新聞、雑誌、書籍を分析対象(元ネタ)として導き出された結果だったからなのです。
我々現代人が、いま一番目にする機会が多い、ポスター、チラシ、TVCMといった広告媒体は、まったく扱われていない。平安朝期にはそんなものありませんでしたから、比較しようにも出来ません。よって分析研究の材料には加えられなかったのであります。
そして、かような広告で扱われる言葉は、その性格上、斬新なものが優先して使用される。この分量が凄いうえに、限られた量的制約のなかで最大の効果を発揮すべく強烈な言葉が多用され、(そもそもの目的である)それを目にする人に強い印象を与えている。
さらに、テレビやラジオなどのメディアが、ひっきりなしにそれらを連呼する。
広告嫌いな人でも、否応なしに目に飛び込んでくる、耳に入ってくる。
うわ〜、なんだか日本語が滅茶苦茶になってるぞ〜。
その嘆きの最大の要因は、ニッポンの商業主義化にあったのであります。
さらに、この現象に拍車をかけているのが、読書量の減少。
最近の若い人は本を読まなくなった。
先の研究結果は、一般的な読書習慣のなかにあって成立するもので、まったく本を読まない人たちにとっては机上の空論。日常目にする言葉、耳にする言葉のほとんどすべてが広告媒体を介しての人たちにとっては、まったく意味を成さない。
さらにさらに、パソコン普及による横書きの増大。アルファベット混在の増加。
研究室の外では、とんでもない事態になっていたのであります。
まあ、わずか100年くらい前までは、字を読めない日本人はゴロゴロいたわけで、雑誌・書籍等の出版部数も現在のほうがはるかに多く、若者の活字離れとかいっても、ここ20〜30年くらいの期間限定。
そんなに大袈裟に考えることでもないと、(個人的には)思っているのですが……
では、日本語の乱れに歯止めをかけるには、どうしたらよいのだろう?
正しく美しい日本語を守るため、ただちに広告行為はやめなさい。
新聞も雑誌も広告の掲載は一切禁止。テレビもラジオもNHKだけにしなさい。街路での看板・ポスター等掲示の禁止。チラシの印刷配布を行った者は罰金10 万円または禁固1年以下の懲役に処す……などという法制度により厳しい処置をとらねば、現状の流れを止めることは不可能。
しかしながら、成り行きまかせで自国語を扱ってきた我が国の伝統に、法的規制はそぐわない。
さて、どうするニッポン。
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