soe006 日本語の根幹は揺るぎない

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日本語の根幹は揺るぎない

March 5, 2006

そんなわけで、日本語ってものは、漢字が輸入される以前からあった和語(やまと言葉)に漢語が移植されて書き言葉を成形し、16世紀以降はポルトガル、オランダなどのヨーロッパ言語が、明治以降はドイツ、フランス、イギリスなどの先進国の言語が、特に大東亜戦争敗戦後はアメリカからの言語が外来語としてこれに加わり、日本語として定着していったわけです。

では、日本古来の言葉は、それら外的要因によってどのように変容したのか?
言語学を研究されている偉い先生が、「枕草子」や「竹取物語」など平安朝期に書かれた書物に用いられている言葉と、現在出版されている書籍・雑誌・新聞などで使用されている言葉とを、収集・分析・比較検討した結果、意外な事実が浮かび上がってきました。
なんと、平安朝期に使われていた言葉の、約80パーセントが現在でも使われているというのです。例えば……

三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花のいまさきはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたでぞみゆる。
(「枕草子」 by 清少納言)

三月三日は現在でも「三月三日」だし、うらうらとのどかに照り(る)光景を表現するときはやっぱり「うらうらとのどかに照る」で通用するし、桃の花は21世紀の日本でも「桃の花」なのだ。

つまり、約1200年を経てもなお、日本語の約80パーセントが昔と変わらぬ形で生き残っている。
残り20パーセントが、平安朝以後に現れた新語・外来語・流行語といったもの。これは時代によって流行り廃り(はやりすたり)があり、時代ごとに現れては消えていく言葉。たとえば、敗戦後にあった「たけのこ生活」とか「闇市」とか「買い出し」とか「パンパン」とか「オンリーさん」とか。このなかには、「ガラス」、「パン」、「ガーゼ」、「アフター・サービス」、「ゴールデン・ウィーク」などすっかり定着してしまった外来語・新語・造語も含まれる。いやこれらとても、8世紀から21世紀の時の流れのなかにあっては、使用期間は短期間といえるし、今後消滅してしまうことも充分ありうる。
根幹となっている80パーセントの言葉、これはほとんど変わっていない。
1200年間変わらなかったのだから、これから変わることもないだろう。変わるのは表層的な20パーセントのみ。日本語の根幹(80パーセントの部分)は揺るぎない。日本語の乱れなど、心配することはないのだ。

いやまてよ、それにしては今の世の中、とても20パーセントなんて数字に収まりようもない、とてつもなく多くの新語・造語・外来語(カタカナ表記&アルファベット表記)が蔓延しているように思えるのだが……

明日はその疑問にお答えする。
嗚呼、日本語の未来は如何に? 乞うご期待!

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