直立猿人:チャールス・ミンガス

直立猿人:チャールス・ミンガス

November 11 2011

モダンジャズ不朽の名盤25選

モダンジャズ愛好家にとって 1956年という年は、たいへん特別な意味を持っている。
マイルス・デイビスが大手コロムビアと契約し、プレスティッジに4部作を録音、コロムビアに「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」という大傑作を録音。
天才クリフォード・ブラウンが不慮の事故により死去し、麻薬で第一線から退いていたアート・ペッパーが復帰。
シェリー・マン&ヒズ・フレンズの「マイ・フェア・レディ」が大ヒット。ジャズ・メッセンジャーズから独立したホレス・シルヴァーによってファンキー・ブームに火がついた 1956年。
1月にチャールス・ミンガスが「直立猿人」(アトランティック)、6月にソニー・ロリンズが「サキソフォン・コロッサス」(プレスティッジ)、12月にセロニアス・モンクが「ブリリアント・コーナーズ」(リバーサイド)と、後のジャズシーンに多大な影響を及ぼした超問題作を発表している。

CHARLES MINGUS PITHECANTHROPUS ERECTUS

CHARLES MINGUS PITHECANTHROPUS ERECTUS
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ジャッキー・マクリーン(アルト・サックス)
J.R.モンテローズ(テナー・サックス)
マル・ウォルドロン(ピアノ)
チャールス・ミンガス(ベース)
ウィリー・ジョーンズ(ドラムス)

01 Pithecanthropus Erectus (10:35)
02 A Foggy Day (7:48)
03 Profile of Jackie (3:09)
04 Love Chant (14:53)

Recording Date: Jan 30, 1956
Atlantic

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マイルス、ロリンズ、ブラウン=ローチ、セロニアス・モンクなど、イーストコーストのミュージシャンがアグレッシヴな演奏活動を展開していた1956年1月に録音された、アトランティック・レーベル移籍第1弾アルバム。
自己のレーベル、デビューにおいて、伝統的な決め事を排した、自由かつ奔放な実験創作活動(ジャズ・ワークショップ)を行なっていたミンガスの、最初で最大の成功例。
チャールス・ミンガスの代表作であり、50年代を通じての重要作品。
その影響はジャズシーンのみにとどまらず、ロックその他あらゆる音楽にまで及ぶ。

「進化」「優越感」「衰退」「滅亡」の4部で構成された表題作「直立猿人 Pithecanthropus Erectus 」は、60年代に表面化する黒人の自立と怒りを、圧倒的なパワーで表現した先駆的傑作。
いっぽうジョージ・ガーシュウィンの「霧深き日 A Foggy Day」では、自動車のクラクションを模したサックスを加え、印象派絵画的サウンド・ポエムを表現。

ジャッキー・マクリーン、J.R.モンテローズというブルース感覚に優れたホーン奏者の参加により、実験作品にありがちな独善的で無味乾燥な印象は皆無。じつにエモーショナルなソウル・ミュージックになっている。
わずか5人編成のバンドながら、ビッグバンドに匹敵する脅威のサウンドが奔出。エネルギッシュでダイナミック、独特のユーモアも加味したミンガス・ミュージックの真骨頂。

まあ、べた褒めしているわけですが……
これは日常的に、頻繁に聴くタイプの音楽ではありません。

疲れるんです。とても。
LP時代はどちらか1面(ほとんどA面の「直立猿人」と「ア・フォギー・デイ」)しか聴いてませんでした。
全曲イッキに通して聴くと、すこぶる体力を消耗します。

いま流行りの癒し系ジャズとは対極にある、骨太いジャズ。
漢のジャズと言ってもいいかもしれません。

そういえば、ミンガスが好きって女性とは会ったことありませんね。
ロン・カーターが好きって言うベース弾きの女の子はいましたけど。

「おれの音楽をジャズなんて下品な言葉で呼ぶな!」とか、
「酒呑んでお喋りしてる客の前じゃ演奏しねえぞ!」とか、
乱暴なエピソードをいっぱい残してますから。
女性は近寄りがたいのでしょう。

でも、ホワイトハウスのジャズ・フェスティバルで大統領(当時はジミー・カーター)から労いの言葉をかけられ、感涙にむせんでしまった、なんてセンチメンタルな人柄でもあるんですよ。
見た目が強面だけに、これはけっこう良い話。

ミンガス・ミュージックたくさん聴いてるファンなら、ミンガスがそのようなメンタリティの持ち主であることは、ご存知のはず。
「グッバイ・ポークパイ・ハット」とか、友人・恩人たちに捧げた音楽がいっぱいありますし、それらトリビュート作品はとても感傷的でしたし。

アルバム「直立猿人」の特徴としては、
1.ジャズ(及び音楽全般)に及ぼした影響
2.ミンガス・ジャズに内包する黒人人権の問題提起
3.演奏のうまさ、すごさ、素晴らしさ

この3つのストーリーで語られることが多いです。
1は、ミンガスの作・編曲、バンドリーダーとしての凄さが語られ、2では、公民権運動など、当時の黒人ミュージシャンの社会的背景との関わりが語られ、3になってようやく演奏の中身、すなわちミンガスの技量、マクリーン&モンテローズのブルース魂、マル・ウォルドロンの絶妙サポート等に焦点があてられる。

オーネット・コールマン、エリック・ドルフィーが登場する以前の出来事であり、音楽以外の、その外側のストーリーがそれぞれ重要なのは、まあそのとおりなのですが……

「直立猿人」と「ア・フォギー・デイ」が強烈なので、つい過小視してしまいがちな「ジャッキーの肖像」と「ラブ・チャント」も、ちゃんと聴いてみるとけっこう良いんです。
「ジャッキーの肖像」でのマル・ウォルドロンとジャッキー・マクリーン。短い曲ですが、この録音があったからこその「レフト・アローン」なのかな。
「ラブ・チャント」も、ロリンズ「サキ・コロ」収録の「ブルー・セブン」に匹敵するインプロヴィゼーション・ジャズの傑作。

ちなみにインプロヴィゼーション・ジャズとは、たったいま思いついたジャズのスタイル。
「ラブ・チャント」、「サキ・コロ」収録の「ブルー・セブン」、マイルス「カインド・オブ・ブルー」の「オール・ブルース」と3曲並べれば、だいたいこんな感じって分かるでしょ。
分かんない?

分かってよ!

追記(2011/11/20)

どーでもいいことだけど……
かつて「チャーリーと呼ぶな、おれの名前はチャールス・ミンガスだ」と怒ったミンガスでしたが、このレコードのジャケットには the charlie MINGUS JAZZって、しっかりはっきり表記されてます。

チャールス・ミンガス Charles Mingus

1922年4月22日、アリゾナ州ノガルス生まれ。
少年時代にトロンボーンとチェロを学んだが、16歳でレッド・カレンダーに師事しベースを習得。
リー・ヤング、ルイ・アームストロングのバンドを渡り歩き、ライオネル・ハンプトン楽団時代に録音した「ミンガス・フィンガーズ」(1947年)で名を知られるようになる。1950年から参加したレッド・ノーボ・トリオで、単なるバッパーにはない多彩なプレイを示し注目される。
1952年にマックス・ローチと共同でデビュー・レーベルを設立。テオ・マセロ、ジョン・ラポータ、テディ・チャールスなど知性派ミュージシャンによるグループ(ジャズ・ワークショップ)で、野心的・実験的な創作活動を開始。ハードバップ全盛期に、従来の形式にとらわれない自由で個性的なミンガス・サウンドを確立。デビューは経営不振により倒産したが、1956年にアトランティック・レーベルより「直立猿人」を発表、ベーシストとしてのみならず、作・編曲家、バンドリーダーとしての名声を得る。
いっぽう黒人の人権確立のための運動にも積極的に参加。虐げられてきた黒人の悲しみや怒りを作品に込めた「ハイチ人の戦闘の歌」や「フォーバス知事の寓話」などを発表。
1960年よりエリック・ドルフィー、テッド・カーソンをグループに加え、アグレッシヴな集団即興演奏を繰り広げる。この時期のミンガスの録音はどれも聴き応えがある。
デューク・エリントンを敬愛し、どのようなジャズメンとでも、どのような編成のバンドでも、強烈なミンガス色に染まった演奏を繰り広げた。
晩年は筋萎縮性側索硬化症を患い車椅子での生活をおくっていたが、作・編曲の仕事は続けていた。1979年1月15日、メキシコ・シティにて病死。享年56歳。

モダンジャズ不朽の名盤25選
直立猿人:チャールス・ミンガス(2011年11月11日)
ザ・ユニーク:セロニアス・モンク(2011年02月06日)
ラウンド・アバウト・ミッドナイト:マイルス・デイビス(2011年01月22日)
サキソフォン・コロッサス:ソニー・ロリンズ(2011年01月18日)
スタディ・イン・ブラウン:ブラウン=ローチ・クインテット(2011年01月04日)
チェット・ベイカー・シングス(2011年01月03日)
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