ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」
July 19, 2010
最近買ったクラシックCD
最近はもう本当に室内楽曲ばっかり。
それも古典派〜ロマン派前期。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームスあたり。
特にモーツァルトとベートーヴェンの作品は、どれ聴いてもいい。
BGMでタレ流しするもよし、じっくり傾聴するもよし。
一日中聴いてても、ぜんぜん厭きないですね。
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ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集 Vol.2Beethoven:Piano Trio Vol.2 ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ) Disc 1 Disc 2 1979-84年録音 |
ピアノトリオは、3人の演奏者が個人技を火花散らして競い合うようなところがあって、協調性を第一義とする弦楽四重奏曲とはまた違った面白味があります。
それぞれが独奏楽器として幅広い表現能力を持ってますからね。
名人級のソリストが顔を並べたりしたら、もう腕自慢大会。
……なんてことにならないよう、そこそこに分別のある奏者のディスクが、やはり定番になっているようです。
100人に訊きました。
古今東西、一番立派だと思えるピアノトリオは?
答え
ベートーヴェンの第7番 変ロ長調「大公」
100人に訊いたってのはでっちあげだけど、おそらく誰に聴いても同じ答えが返ってくると思いますです。
堂々たる風格がありますもの。
「大公」と呼ばれているのは、この楽曲がオーストリアのルドルフ大公に献呈されているからで、このルドルフ大公は大の音楽好きでベートーヴェンの弟子の一人でもあり、ピアノソナタ第26番「告別」を解説するときに必ず出てくる、あの人なのであります。
1811年、ベートーヴェンが41歳のときに完成。存命中に発表された最後のピアノトリオとなります。
1811年というのは、前年に弦四第11番「セリオーソ」を発表してからしばらく弦楽四重奏の作曲をおやすみしていた時期で、交響曲でいうと第5番&第6番「田園」(1808年)と第7番(1813年)のあいだ。
生涯で最も脂がのっていた時期、傑作・名作を連発していたころであります。
同時に、耳がどんどん悪くなっていった時期でもありまして……自分の弾くピアノの音もまともに聞き取れなくなっちゃって……超名人級のピアニストだったベートーヴェンは、この「大公」トリオの初演(1814年4月11日)を最後に舞台を降りたのでありました。
さて、ディスクですが……
第7番「大公」は文句なし、非の打ち所なしの名曲。
第5番「幽霊」は、第2楽章の神秘的な感じが「幽霊」なだけで、「幽霊」を描写している標題音楽じゃないの。だから第3楽章は明るく情熱的。
国内盤(EMI ミュージック・ジャパン)は、この2曲をカップリングして 1300円。
ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが……私は1枚 1000円以上もする高価な CD は買わない主義なので、どーしよーかなーと思案にくれる日々を過ごしていたところ、フランスEMI の2枚組廉価盤シリーズ Gemini から、ピアノトリオ全集がリリースされました。
こちらは2枚組で 1300円。
普段聴かれないオマケが、たーっぷり収録されているところが嬉しいですね!
上に紹介している CD は Vol.2 とあるように、もちろん Vol.1 も出ています。2組あわせて 約2500円でベートーヴェンのピアノトリオが全曲、しかも豪華なメンバーの演奏で揃えることができます。
嗚呼、倖せだなあ!
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ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集 Vol.1Beethoven:Piano Trio Vol.1 ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ) Disc 1 Disc 2 1979-84年録音 |
ベートーヴェンのピアノトリオは、これさえあれば、とうぶん大丈夫。
ところで……ベートーヴェンの作品番号1番がピアノトリオだったこと、このディスクを買って初めて知りましたですよ。
ベートーベンの原点であり出発点、これはぜひ聴いとかなくっちゃね!
第4番「街の歌」は、本来はクラリネットとチェロとピアノの三重奏で書かれていた曲。
なかなかよいメロディ。好きだなあ。