24のカプリース 作品1
ヴァイオリン奏法のあらゆるテクニックが織り込まれたパガニーニの「24のカプリース(奇想曲)」は、J.S.バッハの「無伴奏ソナタとパルティータ」とともに、現代ヴァイオリニストのバイブルとなっています。
パガニーニ以前にこのような超絶技巧を必要とする作品が皆無だったわけではありませんが、パガニーニの「カプリース」は教材としてだけでなく、鑑賞用としても愉しめることから録音盤も増えてきました。
不思議な音が次々と出てくる第9番、「悪魔の微笑」のニックネームをもつ第13番、多くの作曲家に変奏曲のモチーフとして用いられている第24番など、技巧のデパート的作品集ながら、コンサートで単独演奏される魅力的な曲も多く含まれています。
楽曲構成:
第1番 ホ長調 アンダンテ
第2番 ロ短調 モデラート
第3番 ホ短調 ソステヌート−プレスト−ソステヌート
第4番 変ホ長調 マエストーソ
第5番 イ短調 アジタート
第6番 ト短調 レント
第7番 イ長調 ポサート
第8番 変ホ長調 マエストーソ
第9番 ホ長調 アレグレット「狩猟」
第10番 ト短調 ヴィヴァーチェ
第11番 ハ長調 アンダンテ−プレスト
第12番 変イ長調 アレグロ
第13番 ト短調 アレグロ「悪魔の微笑」
第14番 変ホ長調 モデラート
第15番 ト長調 ポサート
第16番 ト短調 プレスト
第17番 変ホ長調 ソステヌート−アンダンテ
第18番 ハ長調 コレンテ−アレグロ
第19番 変ホ長調 レント−アレグロ・アッサイ
第20番 ニ長調 アレグレット
第21番 イ長調 アモローソ−プレスト
第22番 ヘ長調 マルカート
第23番 変ホ長調 ポサート
第24番 イ短調 クワジ・プレスト:フィナーレ
演奏時間:約72分(全曲)
パガニーニ:24のカプリースイツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
1972年 ステレオ録音 |
パガニーニ:24のカプリースシュロモ・ミンツ(ヴァイオリン)
1981年 デジタル録音 |
パガニーニ:24のカプリース五嶋みどり(ヴァイオリン)
1988年 デジタル録音 |
かつて全曲版といえば、ルジェロ・リッチとアッカルドくらいしかありませんでしたが、70年代以降、この楽曲を弾く(録音する)ヴァイオリニストが増えてきました。今ではヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストにとって試金石のひとつとされているようです。
推薦盤には現役3人の演奏を並べました。いずれも超絶技巧をらくらくと弾きこなしているテクニシャン。パールマンは持ち前の美音でゆとりさえ感じさせる名演。ミンツは少し細い音色ですが、明晰なフレージング。五嶋みどりは17歳のときの録音。めちゃくちゃ巧いです。