交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 作品90
交響曲第4番「イタリア」は、欧州周遊旅行から帰ったメンデルスゾーンが、イタリアでの印象をスケッチしておいたものを、後年ロンドン・フィルハーモニック協会からの依頼により作曲した交響曲。
躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的で、イタリアの強烈な陽光を感じさせる第1楽章、イタリア舞曲のサルタレッロを取り入れた陽気な終楽章など、標題性が強いことから人気を得ている。
初演は1833年5月13日でしたが、作曲家本人は出来に満足できず、その後もずっと改訂し続けていたとのこと。
楽譜は死後4年経ったあとに、遺作の19番として出版。交響曲第3番「スコットランド」(op.56)よりも先に作られているのに、作品番号が90番なのは、そういう理由があるからだそうです。
ちなみに現在のオーケストラが演奏しているのは、1838年6月18日にロンドンで演奏された改訂2版だとか。
作曲年代:1831年から1833年3月13日にかけて
初演:1933年5月13日 ロンドン・フィルハーモニック協会にて 指揮は作曲者自身
楽器編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
楽曲構成:
第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ イ長調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ・コン・モート ニ短調 三部形式
第3楽章 コン・モート・モデラート イ長調 三部形式
第4楽章 サルタレッロ、プレスト イ短調 ロンド形式
演奏時間:約24分
メンデルスゾーン:交響曲第3番&第4番クラウディオ・アバド 指揮
1. 交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Deutsche Grammophon 1984年2月 デジタル録音 |
メンデルスゾーンの天真爛漫な若々しさと、アバドのバイタリティがぴったりマッチした、明快な演奏。フレッシュな躍動感に満ちて素晴らしい。録音も良好。
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
アルトゥーロ・トスカニーニ 指揮
1. 交響曲第4番 イ長調「イタリア」 RCA(BMG JAPAN) 1954年 モノラル録音 |
LP初期のころから「イタリアン・シンフォニー」の決定的名盤とされてきたトスカニーニの1954年録音盤。スケールの大きさ、風格、熱狂的な迫力。これを凌ぐ演奏は、残念ながらステレオ盤には見当たりません。CD化で音質も改善されているので、モノラル録音にアレルギーのない方には、トスカニーニ盤が絶対のオススメです。
メンデルスゾーン : 交響曲第4番「イタリア」&劇音楽「夏の夜の夢」
ジョージ・セル指揮
1. 交響曲第4番イ長調op.90「イタリア」 1967年5月 ステレオ録音 CBS Columbia |
トスカニーニ盤に似て、原色の色彩感に満ちた音色、濁りのないスカッとした演奏のセル&クリーヴランド盤。イタリアの明るく澄んだ空気感、肌触りを味わえる1枚。