soe006 サントラ盤不要論

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サントラ盤不要論

March 9, 2006

だからもう、すっかりサントラ盤とは無縁なんですよ。
ご贔屓にしていたゴールドスミスやバーンステインもお亡くなりになっちゃいましたし。

ほとんどの作曲家さんが言ってますでしょう。
映画音楽は映画のために作曲したものだから、映画と切り離して、音楽だけ聴かれるのは嫌だと。
だったらCDなんて作らなきゃいいのに。

映画本編を観て、ついでに背景の音楽も聴く。

それでいいじゃん。いまはDVDやビデオがあるんだから。
俺の映画音楽を劇伴って呼ぶな! って言ってたゴールドスミス自身が、劇伴以外のなにものでもない音楽書いていて、じゃ、どーしろっての? みたいなモヤモヤした気持ちがあったんですけどね。
これでスッキリした。

そこで……サントラ盤不要論。

そもそも俺がサントラ盤を買い始めたのは、映画を所有したかったからなんですね。
家庭用ビデオが存在しなかった、70年代のはじめの頃の話。
映画を観にいくでしょう。
面白かったなあ、いい映画だったなあと、感動するでしょう。
でも感動なんてのは気持ちの変化だから、映画館を出た後、好きな女の子と会ったり、あるいは粋でヤンチャな不良に絡まれたり、または補導員とか警察官に職務質問されたりすると、別の気持ちが上書きされて、映画の感動が吹っ飛んでしまうこともあるわけです。

なにしろ田舎です。名画座がない。
公開が終わってしまうと、二度と再び観る機会がない。テレビの洋画劇場で、ズタズタにカット(画面左右の削除と尺の短縮)され、ドラマツルギーとは無関係に頻繁にCMで中断され、クソッタレな吹替え(これはいまでも大嫌い)の放映にすがるしかない……そんな歪(いびつ)なものでも、当時はとてもありがたかったし、大きな糧となっていますけど……まさに一期一会なのが映画見物だったわけで、全神経をスクリーンに集中させ、フィルムの1コマたりとて見逃すものかと、熱心に観てましたね。

しかし人間の記憶容量とその処理能力には限界がある。
あの日あの時あの映画の、感動と興奮を蘇らせる材料として、パンフレットを買う。
原作本が出版されていたら、それも買う。そしてサントラ盤。
これが当時の3点セットでした。
他にチラシや前売り券の半券なんかもありましたけど。それらを眺め読み聴いて、何度も何度も記憶を反芻してました。
だから、あの頃に観た映画は、強烈に残っていますね。いまでも。

『明日に向って撃て!』とか『パピヨン』とか、『タワーリング・インフェルノ』とか『エクソシスト』とか、『スティング』とか……3点セットでコレクション。まぁ、サントラ盤が出ていなかったり、原作本がなかったりする映画も多かったですけど。
お気に入りの映画を、そうやって集めていたわけです。

やがて、映画は(ノベライズもの以外は)原作本とは関係ないのだと気づき、「スクリーン」や「キネマ旬報」のほうが、チョウチン記事だらけのパンフレットよりも多くの情報とデータが記載されているのを知り(当時の「キネ旬」には採録シナリオも載ってましたからね)、原作本やパンフレットを買う習慣はなくなりました。
ノベライズ本は、中学生の俺でも、「こりゃ酷い」と分かるくらい稚拙なのが多かった。
唯一残ったのが、サントラ盤。
これは記憶再生に有効だったってことも、もちろんありますけど、音楽を聴くこと自体が好きだったんですね。
それでいつまでもダラダラ買い続けた。

そのうち映画とは関係なしに、つまり映画を観る観ないは別として、ジョン・バリーとかジョン・ウイリアムスとか、特定の作曲家のサントラ盤を買い漁るようになる。
いや、漁るってほどの量は発売されてませんでしたから、新しいのが出たら、買う。そして聴く。みたいな感じですか。

で、当時購読していた映画雑誌「スクリーン」なんですけど、(今はどうなっているのか知りませんが)映画音楽関連のページがとても充実していたんですよ。

例によって例の如く、このあとはとても長くなりそうなので、
続きはまた今度。

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