ジャズ・ミュージック・ライブラリー
May 5, 2009
4,5&6 ジャッキー・マクリーン
Prestige
1 Sentimental Journey 9:54 ジャッキー・マクリーン(as)、ドナルド・バード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、マル・ウォルドロン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds) |
プレステッジ時代のジャッキー・マクリーンは数多くの名盤を残していますが、そのなかで最も高い人気を獲得しているのがこのレコード(CD)。タイトルの「4,5&6」は、カルテット(ワンホーン)、クインテット、セクステットの意味。それぞれの編成での、ハードバップ演奏が収録されています。
ワンホーンで演奏された、1曲目の「センチメンタル・ジャーニー」と、続く「ホワイ・アズ・アイ・ボーン?(なぜこの世に生きるのだろう)」が特に素晴らしいですね。ほろ苦く甘いハスキーな音色が、胸の奥にじんわり染みます。「レフト・アローン」でも競演していた、盟友マル・ウォルドロンの泣かせ節にも注目。ドナルド・バードのトランペット、ハンク・モブレーのテナー・サックスも好調で、モダンジャズが最も輝きに満ちていた時代の、生々しい息吹が感じられます。
ジャズらしいジャズ、本物のジャズが聴きたい、そんな貴方に絶対的オススメ!
ゼム・ダーティ・ブルース キャノンボール・アダレイ
Riverside/Capitol
1 Work Song 5:07 キャノンボール・アダレイ(as)、ナット・アダレイ(cornet)、ボビー・ティモンズ(p)、バリー・ハリス(p)、サム・ジョーンズ (b)、ルイ・ヘインズ(ds) |
キャノンボール・アダレイ・クインテットによる、ファンキー・ジャズの代表作。ナット・アダレイの「ワーク・ソング」、ボビー・ティモンズの「ダット・デア」を含む1960年の録音。
キャノンボールの代表作としてブルーノート1595番の『サムシン・エルス』が挙げられることが多いが、あちらはマイルス・デイビス主導で録音されたもので、モダンジャズ史に残る名作アルバムなのは確かであっても、キャノンボールの個性は稀薄。そこであえて、最もキャノンボールらしいアルバムをここでは採り上げました。
「ファンクの商人」と呼ばれたキャノンボールならではの、泥臭いブルース・フィーリングにどっぷり浸ってください。
別テイク2曲を追加収録したコンプリート盤。
(注:東芝EMIから出ている国内盤には別テイクが入っていません)
The Art of Pepper: Aladdin Recordings Vol.3Omega(Blue Note) Art Pepper(AltoSax)、Carl Perkins(Piano) 1. Holiday Flight |
オリジナルは Omegaという超マイナー・レーベルからオープンリール・テープでリリースされた、いわゆる幻の名盤。
版権をブルーノートが買い取って、これまた超マイナーなイントロの『 Modern Art 』、ジャズウエストの『 The Return of Art Pepper 』と一緒に、3枚まとめて完全復刻されたのが1988年。
いずれもペッパー節の連打、快演続出の名演揃い。
え、みんな廃盤になっちゃった?
Either Way ズート・シムズ&アル・コーン
Fred Miles/Evidence
1 P-Town 5:12 ズート・シムズ(ts), アル・コーン(ts), オールド・グランド・ハッピー(モーズ・アリソン) (p), ビル・クラウ(b), ガス・ジョンソン(ds), セシル・コリアー(vo) |
フィラデルフィアのジャズ愛好家フレッド・マイルスが、1961年2月に録音したアル&ズートの自主制作盤。長い間、幻の名盤とされてきましたが、今ではCDで簡単に入手可能になりました。(フレッド・マイルスは、クリフォード・ブラウンのラスト・セッション(56年4月)をレコーディングしていたことでも有名)
「I Like It Like That」「Sweet Lorraine」「Nagasaki」の3曲で、セシル・コリアーのヴォーカルがフィーチャーされ、ピアニストのモーズ・アリソンは、契約レーベルを誤魔化すための処置として、「Old Grand Happy」とクレジットされています。
このアルバムは、風神と雷神が右と左に分かれ、丁々発止とフレーズをぶつけ合い技を競い合うテナー・バトルではありません。穏やかに対話しながら、協調して一つのメロディに彩色を施す、そんな印象のレコード。和気藹々とした演奏は、まるで小春日和のような和やかさに満ちています。「Autumn Leaves 枯葉」は隠れた超名演。
音質もメジャー・レーベルと比べて遜色はありません。
ホッジ・ポッジ ジョニー・ホッジス
Epic/Sony
01 Jeep's Blues 2:54 ジョニー・ホッジス(as)、クーティ・ウィリアムス(tp)、ローレンス・ブラウン(tb)、デューク・エリントン(p)、他 |
デューク・エリントン楽団の演奏はしばしば肉感的といわれていますが、その要因の一翼を担っていたのがジョニー・ホッジス。特にバラッド・プレイでのヴィブラートは実に官能的で、他のアルト奏者の追従を許しません。ジャンプ・ナンバーでの軽快なフットワーク、正確にコントロールされたフレーズには、実際に運動しているときのような躍動感と心地よさがあります。
ホッジスは自己のバンドを率いて活動していた51〜55年を除く、殆どの期間をエリントン楽団で過ごしたので、彼の名演奏は同楽団の録音に多くを聴くことができます。特に1940〜42年ごろのデューク・エリントン楽団によるRCA録音には、最高に輝いているホッジスのプレイが記録されています。
オススメの1枚は、エリントン楽団のピックアップ・メンバーによるコンボ演奏で、ホッジスが30歳を迎えた絶頂期の記録。VocalionとOkehレーベルに残されていたSP音源で、演奏時間は短いですが、驚くほど美しいソロが随所に散りばめられた音の宝石箱。
SP音源はどうも、という方には、2枚のLPをカップリングしたImpulse!盤『 Everybody Knows』(1956-57年録音/GRP)をお薦めします。