ジャズ・ミュージック・ライブラリー
August 5, 2009
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Takin' Off ハービー・ハンコック
Blue Note
1. Watermelon Man ハービー・ハンコック(p)、フレディ・ハバード(tp)、デクスター・ゴードン(ts)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds) |
1962年5月に録音された、ハービー・ハンコック、22歳の初リーダー・アルバム。
幼い頃に耳にしていたスイカ売りの呼び声をヒントに作曲した「ウォーターメロン・マン」は、パターン化されたリズムが印象的で、折からのファンキー・ブームに乗ってヒット。
同曲は1973年の『Head Hunters』(Columbia)ではエレクトロニクス化して再演され、ブラック・ファンク・ブームの火付け役となりました。
溌剌としたフレディ・ハバード(tp)、悠々自適なデクスター・ゴードン(ts)の2管フロントも快調。
演奏メンバーは他にブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。
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Explorations : Bill Evans TrioRiverside(OJC) Bill Evans (p) Scotto Lafaro (b) Paul Motian (ds) 1. Israel |
ビル・エヴァンスのリヴァーサイド盤は、なぜか『 Portrait of Jazz 』と『 Waltz for Debby 』の2枚が突出して人気ですが、当アルバムも内容的に遜色はありませんです。
『 Portrait of Jazz 』の「 Autumn Leaves 枯葉」や、『 Waltz for Debby 』の「 My Foolish Heart 愚かなり我が心」のような決め手になるポピュラー・ナンバーがないからかな?
「 Israel イスラエル」「 Elsa エルザ」「 Nardis ナーディス」……エバンスらしい佳曲が並んでるし、アルバム全体を通して聴くと、『 Portrait of Jazz 』よりこっちのほうがより洗練されたエバンス音楽になってるように思うんだけど。
個人的に……エバンス=リリシズムなんて陳腐なレッテル貼りは勘弁して欲しいなあ。
ビル・エバンスって感情に流されるような演奏ぜんぜん無いでしょ。精密機械のようなピアニスト。冷徹なまでに頭脳型のミュージシャンですよ。
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ART アート・ファーマー
Argo
1 So Beats My Heart for You アート・ファーマー(tp)、トミー・フラナガン(p)、トミー・ウィアリアムス(b)、アル・ヒース(ds) |
アート・ファーマーはクリフォード・ブラウン直系の、メロディアスなアイディアで勝負する知性派トランペッター。
豊かで滋味のある音色とフレーズはクセがなく聴きやすいし、高度なテクニックを用いながらもエキセントリックになることなく、(それにこれが特筆すべき凄いことなのですが)誰と共演してもその雰囲気に自然に溶け込み、出しゃばり過ぎることがありません。自分にソロがまわってくると、ここぞとばかりにはしゃぎ廻るリー・モーガンとは対照的なトランペッターといえるでしょう。
そんな知的で控えめなファーマーのプレイを堪能するには、ワンホーン・アルバムが最適です。駄演・駄盤の少ないファーマーの全アルバムのなかで、最もファーマーらしい雰囲気を持ち、トータルな完成度を誇っているのがこのArgo盤。バラッド中心の選曲も良好で、ジャケットの肖像画も素晴らしい。最晩年のビリー・ホリデイによる朽ち果てた老木のような名唱で有名な、フランク・シナトラ作詞による漆黒バラッドの決定版「I'm a Fool to Want You」は決定的名演です。
脇に徹してゴリ押しのないトミー・フラナガンのピアノも、僅かに与えられたソロ・パートにいぶし銀の輝きを放ち、しみじみと味わい深いアルバムです。
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Booker Little
Time
1 Opening Statement (6:42) ブッカー・リトル(tp)、トミー・フラナガン(p)、ウィントン・ケリー(p)、スコット・ラファロ(b)、ロイ・ヘインズ(ds) |
1958年6月にマックス・ローチ・クインテットに加わりプロ入りしたブッカー・リトルは、僅か3年4ヶ月の活動期間を経て他界してしまいました。従って彼が遺したリーダー・アルバムは4枚のみ。本盤を代表作に選んだ理由は、これが唯一のワンホーン・アルバムであることと、「Who Can I Turn To?」を除いたすべて収録曲が、ブッカー・リトル作曲のオリジナル・ナンバーで占められていること。
音大出のインテリらしく、彼のトランペット技法とオリジナル曲には、アカデミックな体裁が感じられ、黒人フィーリングをルーツとしたファンキーっぽさは稀薄ですが、そこが最もブッカー・リトルらしいと言えるでしょう。
リズム・セクションにはピアノのトミー・フラナガン(「Bee Tee's Minor Plea」「Life's a Little Blue」ではウィントン・ケリー)、ベースにスコット・ラファロ、ドラムスにロイ・ヘインズと、錚々たる顔ぶれが並び、手堅いサポートを提供しています。
ビル・エバンス・トリオで名をあげ、この録音の1年後に急遽したスコット・ラファロの参加もひとつのセールスポイントですが、ここでは伴奏に徹していて、エバンス・トリオで聴かれるインタープレイは披露されていません。
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バードランドの子守唄 ジョージ・シアリングVerve
1. バードランドの子守唄 |
ジョージ・シアリング(p)、ディック・ガルシア(b)、アル・マッキボン(g)、ジョー・ローランド(vib)、マルキス・フォスター(ds)による第2期シアリング・カルテットの演奏。
「バードランド」は、チャーリー・パーカーの愛称「バード」にちなんで命名された、マンハッタン52丁目のジャズ・クラブのこと。
シアリングのオリジナル曲で、後に B.Y.フオスターが歌詞をつけ、多くの歌手に唄われるようになりました。