soe006 客室乗務員のおねえさんに怒られる

この日記のようなものは、すべてフィクションです。
登場する人物、団体、裏の組織等はすべて架空のものです。ご了承ください。

客室乗務員のおねえさんに怒られる

August 21, 2003

長年の夢だった……
一生に一度だけでいいから、絶対に、体験したかった。

ついに、そのチャンスがやって来た。

07時10分、ANA242便、福岡発羽田行き。
A10番、右主翼に近い位置の窓側の座席。シートベルトを締める。

もちろん、肝心の装置は既に黒い鞄から出して、
座席前方に挟み込んであるパンフ等の陰に潜ませている
電池も事前にチェックしてある、大丈夫だ。イケる。

重量感のあるドアの閉まる音が、微かな衝撃波となって前方から聞こえてきた。窓からタラップが離れてゆくのが垣間見えた。
ついに、その時がきたのだ。
俺は早速、行動を開始した。

素早く前方に手を伸ばし、隠していた「それ」のコードを掴んだ。
予想外のアクシデントが待っていた。

しまった、コードが絡まっているではないか!
う、どっちだ、これは右か、それとも左か?
焦ってはいけない、ここでしくじっては元も子もなくなる。
俺はパニックに陥らないよう冷静に呼吸を整えながら、絡まったコードを解きほぐす作業に没頭した。

飛行機が動き始めた。
いかん、早くしないと滑走路に到着してしまうではないかッ!
俺はコードを解きほぐすと、慌てず騒がずゆっくり丁寧に、左右を確かめ、それぞれの耳孔に差し込んだ。

よし、いいぞ、すべて計画どおり。順調だ。

飛行機はゆっくりと滑走路に向かっている。
どうやら間に合ったようだ。
俺はいったん装置本体の蓋を開け、
中に装着してあるディスクをチェックした。
大丈夫、間違いなくセットしてある。

いまだ!

俺は、本体に△と刻印されたボタンを……押した。

しばしの静寂があって…………やたっ、これだ!
躍動感のあるリズムとブラスの響き。
映画『大空港』のメインタイトルだ。

通路側前方に暗い影が現れたのはその時だった。

「お客様、恐れ入ります、
離陸時と着陸時の電子機器の使用はご遠慮ください

チキショー、そんなこたぁ重々承知してるんだよ、だから隠れてやってたんぢゃねえかよ〜。
それを、うっ、初めてヒコーキに乗った田舎者を見るような、蔑みの色した目で見やがって〜。

噛みついてやろうか! と一瞬考えたが、止めにした。

昔スチュワーデス、今はフライト・アテンダントと呼ばれている件のおねーちゃんが、
すんげ〜綺麗かったからだ。

黒木瞳にそっくり、というより黒木瞳そのもの。
思わず「GOOD LUCK!」って言いたくなっちゃったくらいよ。

……ってなことで、
『大空港』のメインタイトルを聴きながら、ジェット機が離陸するときの不安を吹き飛ばそうという、俺の積年の計画はあっけなく挫折した。

音楽でも聴いていなきゃ、怖いんだよ、飛行機……まぢで。

特に今回、窓側の席で、翼がモロ見えだしさ。
ジャンボ機の主翼って、
ぶぅわぁんぶぅわぁんって揺れてるでしょう?
あのばかでっかいエンジンも、
ぶぅわぁんぶぅわぁんって揺れてるでしょう?

怖いでしょう?

で、さ……福岡発時は単なる曇天。おだやかな朝だったのに、
羽田着時、東京は大雨洪水警報が出てるほどの悪天候。
滑走路は一部閉鎖されちまって、20分くらい雷雲の中を旋回待機。

『トワイライトゾーン』のCDを持ってくるべきだった。

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