今月のレコード・ライブラリー
February 20, 2009
ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
1. ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
2. バード:ソールズベリー伯爵のパヴァーンとガリアード Decca |
ヴィヴァルディの「四季」は、春夏秋冬の標題付き協奏曲集ですが、この「表題付き」に着目したのが、稀代の名物男レオポルド・ストコフスキー。
大編成オケ(ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)による音の厚みを最大限に駆使して、ロマン主義的アプローチで迫ってきます。
オマケ収録のバード作曲「ソールズベリー伯爵のパヴァーンとガリアード」がこれまた凄い。オケは「スター・ウォーズ」でお馴染みのロンドン交響楽団! 原曲を知る者は吃驚仰天。まるで19世紀末のロマン派交響詩(ラヴェル風?)。原曲を知らない人は、(絶対に)これがバロック期に書かれた音楽とは分からないでしょう。
とにかく、オケをゴージャスに鳴らすことにかけて、この爺さんの右にも左にも斜めにも出る指揮者はいません。
メトロポリタン歌劇場で演奏されることを前提としたかのような、豪華絢爛たるオーケストラ・サウンド。
例によって例の如く、デッカのフェイズ4録音はバリバリの大迫力。
イ・ムジチ楽団などの(普通の)「四季」を聴いたあとでないと、ヴィヴァルディを誤解してしまう、取扱要注意の1枚。大推薦盤。
チャイコフスキー:ロシア管弦楽曲集レオポルド・ストコフスキー指揮
チャイコフスキー:大序曲「1812年」
ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」ダッタン人の踊り
ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」の音楽
チャイコフスキー:スラヴ行進曲 1966-68年 ステレオ録音 Decca |
ストコフスキーのDeccaフェイズ4録音盤は、どれもこれもすべて推薦だけど、そのなかでも最強なのが、こちらの「ロシア管弦楽曲集」。
例によって例の如く、スコアをいぢりまくったストコ編曲仕様。大砲どっかんどっかん、鐘ががんがらりんなチャイコフスキーの祝典大序曲「1812年」や、ディズニー映画「ファンタジア」でもお馴染みのムソルグスキー「はげ山の一夜」も激凄だけど、ボロディンの「だったん人の踊り(合唱入り)」と、「ボリス・ゴドゥノフ」が最大の聴きもの。「1812年」や「はげ山の一夜」は、やりすぎってことで非難されても、まあ仕方ないようなスペクタクル巨編だけど……「だったん人」と「ボリス・ゴドゥノフ」は、すべての方に聴いて欲しい名演だと、思いますですよ。
中学1年生のころだったっけ、初めてこのレコード(LP)を買ったときは、もう嬉しくって楽しくって、毎日毎日、繰り返し繰り返し聴いてました。ストコフスキーには、思春期の男の子を熱くさせる何かがありますね、絶対に。
最近の少年たちは何聴いてるのかな?
ビゼー:組曲「カルメン」&組曲「アルルの女」
レオポルド・ストコフスキー指揮 1976年 ステレオ録音 Sony/Columbia |
大好きなストコフスキーの「カルメン」&「アルルの女」。
組曲版としては最高の演奏なんですけど、残念なことに廃盤になっちゃいました。
ストコフスキーが晩年に残した他の録音を含め、再発を強く望むものなり。
メンデルスゾーン:無言歌集(全曲)ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
1. 無言歌 第1集
1973年 ステレオ録音 |
メンデルスゾーンの無言歌集は美メロディの宝庫。
バレンボイム盤は、抒情味と余韻を大切にした丁寧な演奏で、音色、音量ともに豊潤な響き。読書のBGMに最適な2枚組全曲集。オマケ収録のピアノ小品集もチャーミング。
ラヴェル:管弦楽曲集アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団
1. ボレロ 1961年 ステレオ録音 EMI |
モーリス・ラヴェルの管弦楽曲というとまず最初に挙がるのが、このクリュイタンス&パリ音楽院のEMI盤……だけど、かなり音が古くなっちゃいましたね。
私みたく LP時代から聴いているようなジジイには、耳に馴染んじゃっていて、これじゃなきゃ駄目。新しいシャープな録音に違和感があるのですが。
いまの若い方は、もっと新しい、例えばデュトワとかのほうが良いかも知れませんね。
ただ、ラヴェルがこれらの音楽を作った20世紀初頭の空気感というか雰囲気は、60年代以降の録音盤からはあまり感じられないんです。
じゃあ、18世紀のモーツァルトやベートーベンだって、いま我々が耳にしている音は二百年以上経ってからの録音なんだぜ、と言われると反論のしようはないんですが。