soe006 今月のレコード・ライブラリー 2009年11月号

今月のレコード・ライブラリー

November 20, 2009

チャイコフスキー:「白鳥の湖」(全曲版)
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チャイコフスキー:「白鳥の湖」(全曲版)

アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団

イダ・ヘンデル(ヴァイオリン・ソロ)
ダグラス・カミングス(チェロ・ソロ)

1976年 ステレオ録音 EMI(2枚組)

これは素晴らしい!
おそらく、「白鳥の湖」全曲版のディスクでは、ナンバーワンの出来じゃないだろうか。ボリショイ劇場とかの本場ロシア・オケに、郷土料理風に味付けした名盤があるかも知れないけど。明快でスマートな演奏ながらもドラマチックに盛り上がり、テンポも音色も非の打ち所がないです。
プレヴィンの録音のなかでもトップクラスの上出来盤。オススメ。

チャイコフスキー:「眠りの森の美女」(全曲版)
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チャイコフスキー:「眠りの森の美女」(全曲版)

アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団

1974年 ステレオ録音
EMI Gemini(2枚組)

プレヴィン&ロンドン響による、「眠りの森の美女」全曲版。
このコンビによるチャイコフスキーのバレエ全曲版(EMI)は、「くるみ割り人形」も「白鳥の湖」も、ぜんぶいいです。
EMI Gemini シリーズは2枚組廉価盤。同シリーズからはサヴァリッシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団の「白鳥の湖」(全曲)も出ています。プレヴィンほどの華はありませんが、こちらも佳演。
もうひとつ同シリーズには、ヤンソンス指揮ロンドン・フィルによる「くるみ割り人形」(全曲)もあって、チャイコフスキー3大バレエ全曲版を格安で集めたい人にはオススメです。

ハチャトゥリャン:管弦楽作品集
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ハチャトゥリャン:管弦楽作品集

アレクサンドルラザレフ指揮 ボリショイ交響楽団

1. バレエ組曲「ガイーヌ」
  剣の舞
  バラの乙女の踊り
  アイシェの目覚めと踊り
  レスギンカ
2. 組曲「仮面舞踏会」
  ワルツ
  マズルカ
3. 組曲「スパルタクス」
  スパルタクスとフリーギアのアダージョ
  ギリシャ奴隷の踊り
  エジプトの乙女の踊り
  序奏、エナギとガルモジーのアダージョ
  エリナのバリエーションとバッカス祭
  情景とクロタルを持った踊り
  ガダィタネアの娘の踊り、スパルタクスの勝利

1993年 デジタル録音 Erato

このところ株価急降下のハチャトゥリアンだけど……
本場オケによる代表作のバレエ音楽3本立てです。
演奏も録音も良い、最高と言ってもいいんだけど、あまりおもしろくないんだな、これが。
疵ひとつない優等生ディスク。
60年代にアナログ録音された娯楽系アメ・オケ(オーマンディのフィラデルフィア管やアーサー・フィードラーのボストン・ポップス)のほうが、音質は劣るかも知れないけど、いいね。迫力あるもの。聴かせ方に芸があるんだね。

悪くはないんですよ、ラザレフも。
でも、出し物はハチャトゥリアンですよ。
ハチャハチャしてなきゃダメじゃん。
本場ロシア・オケってことで、過大な期待いだいて聴いたのがいけなかったのかなあ。
土俗的な泥臭いリズムが感じられなかったので、残念。

ベートーヴェン:交響曲第2番/ハイドン:交響曲第45番「告別」
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ベートーヴェン:交響曲第2番/ハイドン:交響曲第45番「告別」

イシュトヴァン・ケルテス指揮
バンベルク交響楽団

1.ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 作品36
2.ハイドン:交響曲第45番嬰ヘ短調Hob.1:45「告別」
1960年頃 ステレオ録音 (Sonopress)

不慮の事故死により、将来を嘱望されながら43歳の若さで亡くなったイシュトヴァン・ケルテスの、1960年ごろの録音。
オケはバンベルク交響楽団。

ケルテスさんの凄いところは、リリースされたレコードがすべて名盤扱いされていること。ハズレ盤が1枚もない。英国デッカに残されたウィーン・フィルとの録音盤は、マジで全部名盤。早死してなきゃ、もっと凄いことになってたかも。
デッカ録音は、モーツァルト、ブラームス、ドヴォルザークしかないのが残念無念と嘆いていたところ、マイナー・レーベルからのベートーヴェン録音が世界初CD化!
まだベートーヴェンがベートーヴェンとしての音楽を確立する前の第2番というのが、ちょっとですが、演奏は(録音も)活き活きしていて素晴らしいです。
このレベルで交響曲を全曲録音してくれたら……せめて第5番と第7番、欲を言えば第3番と第9番を、ケルテス&ウィーン・フィルで聴きたかったですね。同じレーベルからの復刻で、第4番と序曲集(「レオノーレ」「コリオラン」「エグモント」)も出ています。

カラヤン シンフォニー・エディション
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カラヤン シンフォニー・エディション

ヘルベルト・フィン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1. ベートーヴェン:交響曲全集&序曲集(6CD)
2. ブラームス:交響曲全集(3CD)
3. ブルックナー:交響曲全集(9CD)
4. メンデルスゾーン:交響曲全集(3CD)
5. ハイドン:パリ交響曲/ロンドン交響曲集(7CD)
6. モーツァルト:後期交響曲集(3CD)
7. シューマン:交響曲全集(3CD)
8. チャイコフスキー:交響曲全集(4CD)

1964〜87年 ステレオ/デジタル録音
Deutsche Grammophon(輸入盤)

カラヤン&ベルリン・フィルによるグラモフォン録音から、人気の交響曲全集を集大成した、驚天動地、怒濤の38枚組。
70年代のカラヤン&ベルリン・フィルといえば、壮大にして精緻、完全無欠のコンビネーションでありまして、向かうところ敵なし。クラシックと言えばカラヤン、カラヤンと言えば帝王。絶対無比の超絶存在でありました。

それぞれ別個に揃えると数万かかる交響曲全集を、簡易包装の格安セットとして販売。
背後には、デジタル配信という音楽販売方式の変化があり、CD市場ももはやこれまで、在庫一掃処分……みたいな昨今ではありますが。
あの伝統の黄色レーベル、カラヤン&ベルリン・フィルが1枚あたり200〜250円という、ワゴン売りロイヤル・フィル・コレクション(税込み315円)も真っ青、吃驚仰天の爆安価格。これが買わずにいられようか!

厚さ65ミリの箱にギッシリ詰まった38枚。重いです。
805グラムあります。
これが伝統の重みであることは、言うまでもありません。
しかしながら薄紙ジャケットの簡易包装は、置き場所に困りません。
火事、地震、津波など災害時にも、片手で運び出せるから安心です。
同梱の冊子には、曲名と演奏時間、録音データのみ記載されてます。
余計な解説は不要。聴けば分かる、とってもカラヤン。
レーベル面は各作曲家毎に色分けされていて、とってもカラフル。

しかし、ここまでやるのなら、全集未完のドヴォルザークや、シベリウス、マーラーなども網羅して欲しかったです。
でも、安いから許す。

次はバーンスタインのシンフォニー・コレクションを出してね。

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