今月のレコード・ライブラリー
January 20, 2010
ブラームス:弦楽六重奏曲 第1番&第2番
アマデウス弦楽四重奏団
1. 弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調作品18
1966年12月(1) 1968年3月(2) ステレオ録音 |
ブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」の第2楽章に、ひところハマっていた時期がありました。
きっかけは、ルイ・マル監督の映画「恋人たち」に流用されていたからなんですけど。これ何て言ったらいいんだろ。宿命的な男と女の出会いと別れ……みたいな、ロマン派ブラームスならではのドラマチックな旋律であります。
演奏によっては華麗に流れるように響くこともありますが、アマデウス弦楽四重奏団はダイナミックで、情念を感じさせる重厚なサウンドであります。
室内楽曲が苦手な私もぞっこん惚れ込んだ、とびきり素敵な1枚。
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)
1. ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78「雨の歌」
1960-61年 ステレオ録音 |
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番は、第3楽章冒頭の主題が、歌曲「雨の歌 作品59-3」と同じことから「雨の歌」のニックネームで知られている曲ですね。
歌曲の作詞は、クラウス・グロートという詩人によるものだそうで(歌曲のほうは聴いたことないのよ)、内容は「降る雨をみながら、過去を思い出す」というものらしいです。これと、恩師ロベルト・シューマンの奥さんとブラームスの秘められた恋をダブル・イメージさせて、ちょっと淫靡な妄想に耽るのもまた一興かと。
ブラームスの室内楽は、どれもそんな翳りがありますけどね。
シェリングとルービンシュタインのRCA盤は、名盤中の名盤。メロディの歌わせかたがとても美しく、大人の恋だなあと、妙にじんわりした気分になっちゃいます。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.1グレン・グールド(ピアノ)
1. ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 作品2-1
1974年、1976年、1979年 ステレオ録音 |
グレン・グールドによるベートーヴェン初期のピアノ・ソナタ集。
かなり個性的な演奏なので、ファースト・チョイスには向いてないけど、ユニークで面白い。
オーソドックスな演奏に馴れたあとで楽しむ刺激盤。
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
1. 「ツァラトゥストラかく語りき」 1983-86年 デジタル録音 Deutsche Grammophon |
カラヤン&ベルリン・フィルによるリヒャルト・シュトラウス作品集。
このコンビは何度もR.シュトラウスの交響詩を録音していますが、これは1980年代のデジタル録音盤。
何度も繰り返しレコーディングしたいほど、カラヤンは作品に惚れ込んでいたのか、それともR.シュトラウスの華やかな音楽人生に憧れ、それを自分の人生と同一視したかったのか……なんてこと考えながら聴いてます。
正直言って、それほど好きな作曲家じゃないんです。ごめんなさい。
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
ズービン・メータ 指揮
1. 交響詩「英雄の生涯」 1968年 ステレオ録音 Decca |
ロマン派時代終焉のころに大活躍していたリヒャルト・シュトラウスの2作品をカップリングした豪華盤。
R.シュトラウスの交響詩はあまりにもあざとくて……故意に誤解を招くような書き方をすれば、映画音楽的。正直言って、彼の作品を聴くくらいなら、大好きな映画のサントラ盤を聴いてたほうが10倍楽しいのですが。演奏&録音によっては愛聴しているディスクもあります。
例えば、今回のズービン・メータ指揮ロス・フィルハーモニック盤。
この時代のメータ&ロス・フィルは、ダイナミックな覇気に満ちて、みんな素晴らしい。英デッカの録音もとびきり上等で、更に大編成オケのR.シュトラウス作品とくれば、音響快感100パーセント飽和状態。
超個人的理屈抜きご贔屓盤。但し、聴くのは体調の良いときだけ。疲れてる耳にR.シュトラウスは、やっぱり煩いです。