ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
ブラームスの協奏曲はどれも交響曲風な性格を持っていますが、このピアノ協奏曲第1番は初期に書かれているせいか、比較的古典的な形式に沿った明快な構成となっています。
管弦楽を扱った大規模な作品はこれが最初のもので、管弦楽技法の巧さよりも、青年らしい疾風怒濤の情熱が魅力のピアノ協奏曲です。
ブラームスの友人ユリウス・オット・グリムがヨアヒムに宛てて書いた手紙によると、この協奏曲の元となった「2台のピアノのためのソナタ」は、シューマンが精神病院に収容された1854年3月初旬に作曲されていたことが分かります。
ブラームスはシューマン夫人といっしょに練習しているうち、これを交響曲にすることにし、54年7月ごろには第1楽章の管弦楽版が書かれています。何事にも慎重だったブラームスは幾多の変遷ののち交響曲化を断念。55〜56年にかけてあらためてピアノ協奏曲として直し、1858年2月に全曲を完成。
初演:1859年1月22日、ハノーヴァー宮廷劇場の第3回予約演奏会にて、ブラームス自身のピアノ独奏とヨアヒムの指揮で初演。しかし評判は芳しくなく、5日後のライプツィヒ、ゲヴァントハウスの再演も不評。
プライベートではアガーテ・フォン・ジーボルトとの婚約破棄問題も重なり、傷心のブラームスはハンブルグへとひきこもってしまいます。
楽器編成:
独奏ピアノ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦5部。
楽曲構成:
第1楽章
マエストーソ ニ短調 4分の6拍子 協奏風ソナタ形式
第2楽章
アダージョ ニ長調 4分の6拍子 三部形式
第3楽章
アレグロ・ノン・トロッポ ニ短調 4分の2拍子 ロンド形式
演奏時間:約40分
ブラームス:ピアノ協奏曲全集
CD1: Decca(2枚組)輸入盤 |
いかにも疾風怒濤期のブラームスらしい活力がみなぎる名演。豪快なスケールのピアニズム。ナイーヴな抒情の描出にも優れており、スタンダードな名盤として推薦。
ブラームス:ピアノ協奏曲全集
エミール・ギレリス(ピアノ)
CD1:
1972年 ステレオ録音 |
強靱なタッチのギレリス、豊かな音場空間を醸す黄金期のベルリン・フィル、巨匠ヨッフムの懐の深さ。なにひとつ不足のない完全なるブラームス世界。
ブラームス:交響曲&協奏曲集
ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)
コリン・デイヴィス 指揮
01 交響曲第1番 ハ短調 op.68
1988〜95年デジタル録音 |
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