ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
当初、第5交響曲として構想されていたが、ヨーゼフ・ヨアヒムとの不和解消のためヴァイオリン独奏つきの協奏曲として練り直し、その過程でチェロも独奏楽器に加えた協奏曲。
如何にもブラームスらしい優柔不断な紆余曲折を経ているが、その間もヨアヒムやクララ・シューマンらに何度も意見を求め、クララなどは失敗するからやめたほうがよいと忠告したものの、頑固一徹1887年8月に完成。
避暑地スイスのトウンで書かれたせいか、作品は剛直で威厳に富み、まるでアルプス山系のように威風堂々たる大きさをもっている。
初演:この協奏曲は、公式初演の前に数回演奏されていることから、幾つかの初演データが存在する。
私的な初演は、1887年9月21日と22日、バーデン・バーデンのクララ・シューマン宅。管弦楽パートをブラームスがピアノで弾き、ヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリンとローベルト・ハウスマンのチェロ独奏。
その翌日、1887年9月23日にバーデン・バーデンの療養所にて、同じソリストと管弦楽で演奏。
公式初演は、親友フランツ・ヴュルナーの計らいで 1887年10月18日にケルンで行われたが、その3日前の10月15日の試演も公開で催されている。どちらも指揮者はブラームス、ヴァイオリン独奏はヨアヒム、チェロ独奏はハウスマン。
楽器編成:
独奏ヴァイオリン、独奏チェロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット(イ調)2、ファゴット2、ホルン(ホ調−第2楽章ではへ調)2、ホルン(ニ調)2、トランペット(ニ調)2、ティンパニ、弦5部。
楽曲構成:
第1楽章
アレグロ イ短調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章
アンダンテ ニ長調 4分の3拍子 三部形式
第3楽章
ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ イ短調 4分の2拍子 ロンド形式
演奏時間:約34分
ベートーヴェン:三重協奏曲/ブラームス:二重協奏曲
1. ベートーヴェン:三重協奏曲 ハ長調 op.56
1969年 ステレオ録音 |
オイストラフのヴァイオリンとロストロポーヴィチのチェロ、2大巨匠絶頂期の共演。剛気みなぎるロストロポーヴィチと情感豊かなオイストラフのやりとりを、知的にコントロールされたセルの管弦楽がガッチリと引き締める。文句なし、永遠の名演。
さらに、戦後のロシアを代表する3人の天才ソリスト、ヴァイオリンのオイストラフ、チェロのロストロポーヴィチ、ピアノのリヒテルが、カラヤン&ベルリン・フィルと顔合わせしたベートーヴェンの三重協奏曲との豪華なカップリング! 天下無双、並ぶものなしのダントツ超名盤。鉄板の1枚。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 二重協奏曲アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
1. ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
1981年(1) 1983年(2) デジタル録音 |
雄弁なメネセスのチェロと、のびのびと歌うムターのヴァイオリン。カラヤンの管弦楽までもが若々しく鳴っている。巧い演奏。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 二重協奏曲
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
1. ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
1982年9月 ウィーン ライヴ録音 |
クレーメルのヴァイオリンとマイスキーのチェロ。稀代のロマンチスト、バーンスタインの掌中で新進ソリストが自由に主体性を発揮。ライヴらしい緊張感と一体感が醸し出される稀有なる名演奏。