バレエ音楽「ペトルーシュカ」
ストラヴィンスキーによる民族主義的バレエ3部作の、2番目の作品。
最初はオーケストラとピアノのための協奏曲として構想されていたが、ロシア・バレエ団主宰のディアギレフに依頼され、当時のロシア人に親しまれていた伝説を基に、振付師のフォーキンと共同で台本を執筆。1909年冬から翌10年春にかけて作曲された。一幕四場のバレエ音楽。
舞台はロシアの首都サンクトペテルブルグ。復活祭の一日。
大勢の見物や大道芸人で賑わう市場に、芝居小屋が立っている。手品師が人形に息を吹き込むと三体の人形(ペトルーシュカ、ムーア人、バレリーナ)が踊り出す。
手品師がペトルーシュカの人形を芝居小屋の中に放り込む。そこはペトルーシュカの粗末な部屋。脱出を試みるが失敗。絶望に悲観しているところへ、バレリーナが入ってくる。好意をよせるペトルーシュカだが、彼女は受けず部屋を出ていく。
ムーア人の豪華な部屋にバレリーナがやって来て、彼の気を惹くために踊りはじめる。最初は知らんふりをしていたムーア人も、やがて打ち解け、二人は交互に絡み合いながら踊りはじめる。そこへ嫉妬したペトルーシュカが現れ、ムーア人に喧嘩をしかけるが、逆に叩き出されてしまう。
夕暮れの市場。踊りに興じる人々。
芝居小屋からペトルーシュカが飛び出してくる。追って出てくるムーア人とバレリーナ。ムーア人はとめようとするバレリーナの手を払い、剣でペトルーシュカを刺し殺す。
手品師が倒れたペトルーシュカの人形を引きずって芝居小屋に戻ろうとしたとき、ペトルーシュカの亡霊が現れる。恐怖にかられた手品師は、ペトルーシュカの人形を捨てて、逃げ去っていく。
初演:1911年6月13日、パリのシャトレ座
フォーキン振付によるロシア・バレエ団の公演。指揮はピエール・モントゥー。
ペトルーシュカを演じたのはニジンスキーで、この伝説的ダンサーの当たり役となった。
楽器編成(1911年版):ピッコロ2(フルート持ち替え)、フルート2、オーボエ4(第4はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット4(第4はバス・クラリネット持ち替え)、ホルン4、トランペット2、コルネット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、トライアングル、シンバル、大太鼓、タンブリン、小太鼓、タムタム、木琴、チェレスタ、ハープ2、ピアノ、弦五部
(1946年、三管編成に改稿)
楽曲構成:
第1場 謝肉祭の市場
導入−群集
人形使いの見世物小屋
ロシアの踊り
第2場 ペトルーシュカの部屋
ペトルーシュカの部屋
第3場 ムーア人の部屋
ムーア人の部屋
バレリーナの踊り
ワルツ:バレリーナとムーア人の踊り
第4場 謝肉祭の市場(夕景)とペトルーシュカの死
乳母の踊り
熊を連れた農夫の踊り
行商人と二人のジプシー娘
馭者と馬丁たちの踊り
仮装した人々
格闘:ペトルーシュカとムーア人の喧嘩
警官と人形使い
ペトルーシュカの亡霊
演奏時間:約40分
フランク:交響曲/ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
ピエール・モントゥー指揮
1. フランク:交響曲 ニ短調 1961年1月(1) 1959年1月(2)ステレオ録音 RCA |
初演を指揮したピエール・モントゥーのRCAリビング・ステレオ盤。録音当時76歳。細かなフレージングの描き分けや色彩の散りばめ方など、とても新鮮で若々しい。サンフランシスコ交響楽団とロンドン交響楽団の全盛期を作り出した、時代の生き証人ならではの名演。ステレオ初期の録音ながら立体感のある優れた音質。
ストラヴィンスキー:春の祭典/ペトルーシュカ
ピエール・ブーレーズ指揮
1. バレエ音楽「春の祭典」 1991年3月 デジタル録音 Deutsche Grammophon |
シャープな感覚で近代・現代音楽を得意とするブーレーズの1991年デジタル録音盤。曖昧さのない緻密でクールな演奏。ブーレーズには1971年録音のCBS盤(ニューヨーク・フィルハーモニック)もあります。
ストラヴィンスキー:春の祭典/ペトルーシュカ
アンタル・ドラティ指揮
1. バレエ音楽「春の祭典」 1981年(1) 1981年(2) デジタル録音 Decca |
逞しい、男性的なデトロイト交響楽団を名匠ドラティが指揮した、優秀録音で定評のあるデッカ盤。劇的な旋律の流れが圧倒的に迫ってくるドラマティック・ヴァージョン。オススメ!