「のだめカンタービレ」についての覚え書き:序章 PART II
April 12, 2007
「のだめカンタービレ」がブームになっているのは、知っていました。
夏のあいだアマゾンの売上げ上位を独占していた「涼宮ハルヒの憂鬱」が、9月に入った途端、「のだめカンタービレ」一色に塗り替えられていましたし、ガーシュウィンや「ラプソディー・イン・ブルー」を紹介している当サイトのページが、俄然ヒットするようになりましたから。
> twelve storys ジョージ・ガーシュウィン
> 名曲名盤ベスト3 ラプソディー・イン・ブルー
しかし、それまで音楽とは無縁だった小学5年生の半分サル小僧が、ベートーヴェンの「交響曲第7番」を口ずさみ指揮振りするまでの影響力があろうとは……フジ月9、侮り難し!
それで、私もドラマを見てみたのですが……
理屈抜きに面白い。
あまりにも面白かったので、シリーズをイッキに見終わったあと、連続でリピートしてしまい……ついでに、同じ制作チームの前作「電車男」まで見てしまいました。
電車男 DVD-BOX
ポニーキャニオン 企画:鈴木吉弘 |
「電車男」は、今ひとつこなれていないというか、演出に迷っているところが散見して、「のだめ」ほど面白くありません。
ヒロイン(エルメス)の人物設定があまりにも浮世離れしているし、現役2ちゃんねらーの私には、エキセントリック戯画化されたネット住民たちの生態が、(美化され過ぎて)身もだえするほど恥ずかしく感じられました。
原作の「電車男」の元ネタとなった、匿名掲示板「2ちゃんねる」の毒男スレ自体、新潮社とタイアップした疑似イベントだったという(かなり有力な)説もありますし……
電車男 (文庫)
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それでもテレビ版「電車男」は、グダグダな映画版よりは上出来。
オリジナル・アニメ(と、そのキャラクター・フィギュア)を創作したり、拡大解釈された遊びの部分でアクセントをつけるサービス精神は、見習うべきものが多々あります。
後半、スケールが大きくなってゆく過程もスリリングで、全5回くらいの長さでやっていれば、かなり面白く出来たと思います。
「のだめカンタービレ」も、前作「電車男」と同じ路線上に制作されていると思いますが、こちらは現在も連載中の少女漫画(今回はコミック第1巻〜第9巻までの日本編)を11回シリーズでドラマ化。
漫画にはほとんど縁がないので読んでませんけど、2ちゃんねるの「のだめ」関連スレッドによると、かなり原作に忠実に構成されているようです。
そのぶん、設定やストーリーに「なんじゃこりゃあ!」な部分が散見するのですが、それは後回しに……
超個人的に私がこのドラマにハマってしまった理由は、音楽でした。
「のだめカンタービレ」では、3つのタイプの音楽が使用されています。
一つは、登場人物たちがドラマの中で実際に演奏する楽曲。
音大ピアノ科の学生の千秋真一(主人公)が、マンションの隣人で後輩の野田恵(のだめ)と一緒に練習するモーツァルトの「2台ピアノのためのソナタ」や、学校の定期公演で演奏するベートーヴェンの「交響曲第7番」など。
もう一つは、ドラマの背景にBGMとして流れる、いわいる劇伴音楽。
これは、音楽担当の服部隆之によるオリジナル曲と、既成のクラシック音楽の2種類が使われています。
これら3つのタイプの音楽が、ドラマ全編にびっしり付けられていて、音楽好きには堪らないんです。
服部隆之のオリジナルは、曲自体は可もなく不可もなく、この作曲家らしい楽曲を提供。他の既成曲の中にすんなり溶け込んでいて違和感がないところが見事でした。
次回以降、ストーリー展開に絡めつつ、流用された既成クラシック音楽について詳細に書いてゆく予定です。