のだめカンタービレ in ヨーロッパ 使用楽曲推薦盤(4)
January 12, 2008
「のだめカンタービレ IN ヨーロッパ」便乗企画第4弾!
ドラマのストーリー順に、各楽曲の定番とされている名盤を、ご紹介。
紹介したい楽曲&ディスクがたくさんあるので、曲目の解説とか余計なものは一切カット。しかも、超個人的な偏向にもとづくセレクション。
どうしてあの曲を紹介してないの、なんでこれが推薦盤なの、とかのクレームは一切ナッシングでお願いします。
のだめカンタービレ in ヨーロッパアミューズソフトエンタテインメント
DVD2枚組(初回のみ3枚組) |
チェコ・プラティニ国際指揮者コンクール 会場
「名指揮者プラティニを記念し、1960年より4年に1度開催されている国際コンクール。期間は10日間。演奏は名門ヴィルトール交響楽団の協力を得て行われる。課題曲も多く、年齢制限30歳以下の若手のためのコンクールとしては過酷で難易度が高いことで知られ、優勝者には高額の賞金とヴィルトール交響楽団との演奏会、そして1年にわたってのマネージメントとプロモーション契約が得られる」
千秋によるコンクールの説明ナレーション。
BGMは、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」から第4楽章。
「苦悩を乗りこえて歓喜へ」は、今回のストーリーそのままですね。
ベートーヴェンの第5番は、小学生のころから大好きな楽曲で、いままで何枚のレコードを聴いてきたか、買ってきたか、分からないくらいなんですが……定評のある名盤を幾つかご紹介しましょう。
まずは、第7番とのカップリングで、いま最も人気の高い(最も売れている)、カルロス・クライバー&ウィーン・フィル盤から。
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第7番
カルロス・クライバー指揮
1.交響曲第5番 ハ短調 「運命」 作品67 |
カラヤン&ベルリン・フィルの「運命」は、某評論家から「スポーツカーを飛ばしているような」と揶揄されたくらいの快速テンポでしたが、速いのが好きな人には、こちらのライナー&シカゴ交響楽団がオススメです。緊張感で息が詰まりそうな演奏。シカゴ響も一糸乱れぬ猛烈快演盤。ステレオ黎明期のアナログ録音ですが、RCAの優秀リマスタリングで迫力満点。
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第7番
フリッツ・ライナー 指揮
1. 交響曲第5番 ハ短調「運命」 1955-59年 ステレオ録音 |
オーソドックスな演奏ながら、上記シカゴ交響楽団の超絶テクニックを駆使して、最高の高揚感を味あわせてくれるのがショルティ盤。中学・高校のころ、「運命」といえばこればっかり聴いてました。この時代のデッカ録音は、どれを聴いても素晴らしいものばかりです。
ベートーヴェン:交響曲第4番&第5番「運命」
ゲオルグ・ショルティ 指揮
交響曲第4番 変ロ長調 Decca 1974年 ステレオ録音 |
ベートーヴェンの交響曲といえば、当然ウィルヘルム・フルトヴェングラーの名前が出てこなきゃいけないのですが……「のだめカンタービレ」でにわかクラシック・ファンになった人は、モノラル録音はちょっと手が伸ばしにくい。そこで、往年のフルヴェン・スタイルを感じさせてくれる、伝統的で重厚な、旧世代タイプの録音盤を2枚。
ベートーヴェン:交響曲 第1番&第5番「運命」
ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
1. 交響曲第1番 ハ長調 op.21 徳間 1976-77年 ステレオ録音 |
ベートーヴェン:交響曲 第4番&第5番「運命」
ダニエル・バレンボイム 指揮
1. 交響曲第4番変ロ長調 op.60 Warner Classics 1999年 デジタル録音 |
第5番の名盤は、まだまだ他にいっぱいあるのですが、これだけでページを満杯にしてしまいそうなので、以下割愛。
コンクール1次予選の課題曲/千秋真一
「古典派音楽の礎(いしずえ)を築いた偉大なる作曲家。ハイドンで試されるなんて、光栄だ!」
千秋真一が、コンクール1次予選で演奏する楽曲は、ハイドンの交響曲第104番「ロンドン」。
演奏中に黒い羽(CG)がまき散らされます。
ハイドンの交響曲第93番から第104番までは、興行主ヨハン・ペーター・ザーロモンの誘いによりロンドン滞在中に書かれたことから、ロンドン交響曲(またはザーロモン交響曲)と呼ばれています。
まずは定評のあるカラヤン盤でどうぞ。
ハイドン:交響曲第88番、第101番&第104番
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
1. 交響曲第101番ニ長調Hob.1-101「時計」 |
コンクール1次予選の課題曲/ジャン
対するジャンの課題曲は、ロッシーニの歌劇「ウイリアム・テル」序曲。音楽授業の教材にもなっている、あの超有名曲。連ドラでは、合コンのときライジングスターのメンバーが歌って踊ってましたね。
千秋の黒羽に対抗して、ジャンは白薔薇(CG)の大盤振る舞い。
このような通俗ポピュラー名曲(←誉めている)は、フィラディルフィア管弦楽団とボストン・ポップスの独断場といってよいでしょう。
軽騎兵&ウィリアム・テル:序曲集
ユージン・オーマンディ 指揮
1. 喜歌劇「詩人と農夫」序曲(スッペ) RCA/BMG ステレオ録音 |
珠玉のオーケストラ名曲 第1集
アーサー・フィードラー 指揮
1. ペルシャの市場にて(ケテルビー) |
コンクール2次予選・間違い探し
「コンクール4日目、2次予選。課題は間違い探し。出番の15分前に個室ではじめて楽譜を見せられ、すぐに演奏するのだが……」
このシークェンスは、千秋とジャンを交互にモンタージュ。最初は間違いを指摘したら演奏を一旦止めて再開しているのだけど、曲が盛り上がり白熱してくると、次第にカットバックが短くなり、二人が戦っているように見せる仕掛け。
課題曲は、問答無用の大興奮曲、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第4楽章。
ちなみに、千秋は基本あご下げ上目遣い、ジャンはあご上げ下目線の姿勢で指揮してます。二人のスタイルの違いを分かり易く見せようという工夫ですね。
「新世界より」は、これまた超個人的に子どものころたいへんよく聴いた楽曲で、オススメしたい名盤は山ほどありますが、今回は超厳選の4枚(プラス1枚)だけをご紹介。
最初の1枚はご当地オーケストラ、チェコ・フィルハーモニー。このオケを相手に160回以上も「新世界より」を振ったというノイマンの指揮で。
ノイマン&チェコフィルの「新世界より」は何枚もディスクが出ていますが、どれを選んでも超名盤。基本的なアプローチは一貫して変わってないから当然といえば当然だけど。今回は一番新しいデジタル録音盤を推薦。
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ヴァーツラフ・ノイマン 指揮 Denon 1993年 デジタル・ライヴ録音 |
次は、怒濤の迫力演奏で人気がある、情熱の2枚。
このレコードでクラシック音楽に夢中になってしまった昭和のおとうさんたち、けっこう多いと思いますよ。
ドヴォルザーク:交響曲第9番 「新世界より」
レナード・バーンスタイン指揮
1. 交響曲第9番ホ短調op.95「新世界より」 |
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」
イシュトヴァーン・ケルテス 指揮
交響曲第9番 ホ短調「新世界より」 Decca 1960年 ステレオ録音 |
カラヤン&ベルリン・フィル盤は、洗練された人工美の極地。
俗から美を創り出す、練達の技をご堪能あれ。
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
交響曲第9番 ホ短調「新世界より」 EMI 1977年 ステレオ録音 |
「新世界より」のような通俗曲(←だから、誉めてるんです!)を振らせたら、絶対この人が面白いに決まっているの、ストコフスキー!
スコア改変、劇画的過剰面白娯楽派の面目躍如。第2楽章のノスタルジア! モノラル盤は避けてきたけど、この人だけは外せないので例外的措置をとります。
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」
レオポルド・ストコフスキー 指揮
1. ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」 RCA/BMG 1947年 モノラル録音 |
コンクール3次予選/千秋とジャン
2次予選の間違い探しを満点で通過した千秋(黒王子)とジャン(白王子)。続く3次予選で、千秋はライバルの演奏を過剰に意識してしまったため、オケのメンバーに嫌われてしまう。
課題曲は、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」。
この楽曲は、連ドラでは真澄ちゃんのテーマとして使われていました(第2話:千秋とはじめて出会った真澄ちゃんの回想場面)。
推薦盤は、R・シュトラウスのエキスパート、ヘルベルト・フォン・カラヤンと黄金のBPO。
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
1. 「ツァラトゥストラかく語りき」 1983-86年 デジタル録音 Deutsche Grammophon |
ホテル・千秋の部屋
3次予選で失敗した千秋を励ますため、のだめが部屋を訪れると、「負」のCGがもわーっと漂ってくる、面白不気味な場面。
BGMは、連ドラでも催眠術や宇宙アメの場面に流れていた サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」から「水族館」。
元来はサン=サーンスが音楽仲間たちとの余興用に書いた室内楽編成の曲ですが、生前は楽譜出版が許可されず、作曲家の死後に出版。管弦楽版にも編曲されました。
オリジナルの室内楽編成版とオーケストラ編曲版、代表的な名盤2枚を紹介しておきます。
サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」マルタ・アルゲリッチ、ネルソン・フレイレ(p)、ギドン・クレーメル、イザベル・ファン・クーレン(vn)、タベア・ツィンマーマン(va)、ミッシャ・マイスキー(vc)、ゲオルグ・ヘルトナーゲル(cb)、イレーナ・グラフェナウアー(fl)、エドゥアルト・ブルンナー(cl)、他
1. サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」 1985年 デジタル録音 Philips |
サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」アルド・チッコリーニ、アレクシス・ワイセンベルク(p)、ミシェル・デボスト(fl)、ロベール・コルディエ(vc)、他
ジョルジュ・プレートル指揮
1. サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」 1965年 ステレオ録音 EMI |
コンクール3次予選/片平の演奏
3次予選でオケに嫌われてしまった千秋は、片平の指揮する姿を見て、自分もあんな風に音楽を心から楽しめばよかったと反省。
片平の演奏曲は、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲。
放送されたときは、なんてあざとい指揮だろうとシラケて見てましたが、後日CDを聴いていると、あの全身を使っての指揮姿がガンガン蘇ってきて、強く印象に残っているものだなぁと感心。
推薦盤は、近代ロシア音楽を得意としていた爆演系指揮者エフゲニ・スヴェトラーノフのロシア名曲アルバム。ダイナミックな土俗リズムに圧倒される1枚。
スペイン奇想曲:ロシア名曲集
エフゲニ・スヴェトラーノフ 指揮
1. 歌劇「ルスランとリュドーミラ」序曲 (グリンカ) Canyon Classics 1992年 デジタル録音 |
モルダウ川が見えるレストラン
3次予選の結果を待つ千秋。客席で千秋の演奏を聴いていた男から、「熱さ余っての空回りは逆に好印象だよ、若手らしくて。本選に出られたら、オケとは上手くやれよ」と励まされる。
BGMは、スメタナの交響詩「我が祖国」から「モルダウ」。
曲が高揚したところで、3次審査結果発表の場面。
推薦盤は、またまたカラヤン。
俗っぽい曲を流麗に聞かせることにかけては、カラヤンは天才的な男でしたね。
モルダウ/カラヤン名曲コンサート
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
1. スメタナ:交響詩「モルダウ」 Deutsche Grammophon ステレオ録音 |
コンクール本選/千秋真一の演奏
3次で失敗した「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 でコンクール本選に臨む千秋真一。
人気曲だけに録音盤もたくさん、推薦CDもいっぱいあります。
以下の5枚は、超厳選盤。
まずはアナログ時代からずーっと定番のトップに位置している、ハイフェッツのRCA盤。メンチャイといえば、コレですよねー。
メンデルスゾーン&チャイコフスキー:VN協奏曲ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
チャイコフスキー:ゆうつなセレナード RCA ステレオ録音 |
スターン&ロストロポービッチが巨匠の貫禄をみせるシンフォニックな演奏。
メンデルスゾーン&チャイコフスキー:VN協奏曲アイザック・スターン(ヴァイオリン)
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 CBS Sony ステレオ録音 |
録音当時70ちかい高齢だったミルシテインと、若手有望株だったアバドの共演。俗臭の消えた枯淡な味わいのヴァイオリンだけど、テクニックの衰えはありません。心から音楽を楽しんでるところがチャーミング。
メンデルスゾーン&チャイコフスキー:VN協奏曲
ナタン・ミルシティン(ヴァイオリン独奏)
1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 |
チャイコなのにちっともロシア臭くない。如何にもジュリアード出身、ディレイ門下生らしい、磨き上げられたテクニシャン。都会的で若々しいパールマンによる、流麗でスマートなチャイコフスキー。美しいから、これはこれでよいのだ。
メンデルスゾーン&チャイコフスキー:VN協奏曲イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
ベルナルト・ハイティンク指揮 (1)
ユージン・オーマンディ指揮 (2)
1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 ステレオ録音 EMI |
10代後半、チャイコのVN協奏曲といえば、こればっかり聴いていました。超個人的に思い入れも深いチョン・キョンファの鮮烈デビュー盤。プレヴィン指揮のロンドン交響楽団もダイナミック。カップリングのシベリウスがこれまた最高なんです。研ぎ澄ましたナイフの如き、青白く輝く魔性のヴァイオリン。
チャイコフスキー&シベリウス:VN協奏曲
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
1. チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 1970年 ステレオ録音 Decca |
コンクール本選・審査結果発表
BGMは、エルガーの「エニグマ変奏曲」から第9変奏「ニムロッド」。
この場面、曲の使い方が実に見事で……編集スタッフご苦労様の名場面になっております。
推薦盤は、次の2枚。
エルガー:エニグマ変奏曲
レナード・バーンスタイン 指揮
1. エニグマ(謎)変奏曲 Deutsche Grammophon |
エルガー:エニグマ変奏曲
エニグマ(謎)変奏曲
行進曲「威風堂々」 Decca |
次回はSP第2夜、のだめ受難篇。
これまでロクに勉強してこなかったのだめが、異境の地パリでもがき苦しみます。
本日はこれまで。こまんたれぶ〜。