のだめカンタービレ in ヨーロッパ 使用楽曲推薦盤(5)
January 15, 2008
「のだめカンタービレ IN ヨーロッパ」便乗企画第5弾!
ドラマのストーリー順に、各楽曲の定番とされている名盤を、ご紹介。
紹介したい楽曲&ディスクがたくさんあるので、曲目の解説とか余計なものは一切カット。しかも、超個人的な偏向にもとづくセレクション。
どうしてあの曲を紹介してないの、なんでこれが推薦盤なの、とかのクレームは一切ナッシングでお願いします。
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のだめカンタービレ in ヨーロッパアミューズソフトエンタテインメント
DVD2枚組(初回のみ3枚組) |
いよいよ後半戦、新春SP第2夜の開幕!
その前に、第1夜の推薦盤に1枚追加。
コンクールを終えて
帰り道で、酔ったのだめを千秋が抱きしめる場面。
BGMに、プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」のアリア「わたしのお父さん」 が流れていました。
夢見るようにロマンティックなメロディですが、歌詞の内容は、「ねぇ、お父さま、お願いがあるの。これから町に出掛けて指輪を買いたいの。許してくれないなら、身投げして死んじゃうわ」というもので……歌詞を知っている人は、千秋に「のだめ、指輪でいいです、指輪」とおねだりするシーンを、大笑いして見ていたことでありましょう。
ひところ、映画『眺めのいい部屋』や『異人たちとの夏』、テレビCMでもじゃんじゃん使われていた人気曲です。当時バカ売れしていた、キャスリーン・バトルの美声でどうぞ。
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クラシック キャスリーン・バトルキャスリーン・バトル(ソプラノ)
1. わたしのお父さん (プッチーニ) CBS Sony |
さて、第2夜。のだめ受難劇のはじまりです。
そのまえに、千秋の受難がもうひとつ……
突如現れた謎の男に拉致される千秋真一
いったい何が起こったのでしょうか?
BGMは、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」から「夏」の第3楽章。
この楽曲は、連ドラでは、悠人くん登場のテーマとして用いられていました。また、このあと、突如パリに現れたミルヒ・ホルスタイン(別名:フランツ・シュトレーゼマン)がのだめに抱きつく場面では、(一瞬だけど)「春」の第1楽章が流れていました。
ヴィヴァルディの「四季」かイ・ムジチの「四季」か、とまで言わしめた「四季」であります。最初の推薦盤は、イ・ムジチ合奏団のディスクにしましょう。しかしCD屋の棚を見ると、ジャケ違いのイ・ムジチばかりズラーッと並んでますね。イ・ムジチの「四季」って、いったい何枚あるんでしょう?
評判がよいのはカルミレッリ独奏による1982年デジタル録音盤と、1959年第1回ステレオ録音(通算2回目)のアーヨ独奏盤。
カルミレッリはシャープで溌剌としているし、アーヨは肉太の音色で朗々と歌っているのが魅力。どっちを買っても間違いなし。超個人的に両方推薦。
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ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集「四季」
ピーナ・カルミレッリ(ヴァイオリン独奏)
1. 合奏協奏曲集「四季」第1番 ホ長調 「春」 1982年 デジタル録音 (Philips) |
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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
フェリックス・アーヨ(ヴァイオリン) 1959年 ステレオ録音 Philips |
音楽授業の教材にも使われ、映画・ドラマ、CMでもひっぱりだこ。
ヴィヴァルディの「四季」は誰もが一度は耳にしたことのある人気曲ですが、ディスクを集めはじめると、この楽曲ほど奥の深いものはございません。簡素な記譜法で書かれていたバロック時代の作曲なので、演奏者の解釈がどんどんはいってくるし、当時の常識として即興演奏も許されているし。演奏者ごとに異質な「四季」になってしまうため、名盤蒐集の深みにハマると恐い楽曲なのでございます。
先のイ・ムジチ盤はどちらもオーソドックスな、極めて教科書的な演奏でした。
次にご紹介するのは、近代的なアプローチのマリナー&アカデミー室内管弦楽団。獲れたての魚のようにピチピチと活きの良い演奏です。
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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
アラン・ラヴディ(ヴァイオリン)
1. 協奏曲集「四季」 1969年 ステレオ録音 Decca |
そして、70年代以降に台頭してきた古楽器派からも1枚。
アーノンクール指揮、アリス・アーノンクールのヴァイオリン独奏によるTeldec盤。
モダン楽器よりもピッチの低い18世紀スタイルの古楽器を用いているため、まったく違った音色、まったく異なる音楽に聞こえます。爆速テンポでドラマチック。新しい時代のヴィヴァルディ「四季」。
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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
ニコラウス・アーノンクール 指揮
1. 協奏曲集「四季」 1976年 ステレオ録音 Teldec |
更に、いつものお約束。反則技の一撃!
こんな「四季」があってよいのか? ストコフスキーによるB29空爆都市焼失目前暗闇茫然自失爆笑必至盤(←絶賛してます)。
しかも(録音当時)85歳のジイサンが、かように大胆なことをやっておるのだ。(人間と音楽の)生命について沈思させてしまう、哲学的面白名演。笑いをこらえて真摯な態度で聴くべし!
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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
1. ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
2. バード:ソールズベリー伯爵のパヴァーンとガリアード Decca |
エリーゼの音楽事務所/砂漠のプロメテウス作戦
エリーゼの側近・オリバーに拉致された千秋は、ゴシック・ホラーの舞台になりそうな古城に監禁。世にも恐ろしい砂漠のプロメテウス作戦の餌食に……突かれ食われ、毎日まいにち、突かれ食われ、契約書にサインを強要される千秋真一の運命は!
BGMは、オルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より「全世界の支配者なる運命の女神よ」。
まずは、決定的名盤と定評のあるこの1枚。
オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団。シュトルツェ(テノール)の「かつては湖に住みし白鳥」、フィッシャー=ディースカウ(バリトン)の「予は大僧正様であるぞ」など、ケレンたっぷりな独唱はまるで歌舞伎の花舞台。作曲者オルフ立ち会いのもとで録音されているのもポイントです。
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オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」
オイゲン・ヨッフム 指揮
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ) Deutsche Grammophon 1967年 ステレオ録音 |
デジタル優秀録音盤はこちら。レヴァイン指揮のシカゴ交響楽団。ジューン・アンダーソンのソプラノ「天秤棒に心をかけて」が震いつきたくなるほどに美しいです。
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オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」
ジェームズ・レヴァイン 指揮
ジューン・アンダーソン(ソプラノ) Deutsche Grammophon 1984年 デジタル録音 |
解放された千秋は、休む間もなく、シュトレーゼマンの助手として演奏旅行に随行。
スペインのマドリッド、ポルトガルのリスボンに始まり、イタリアはローマを経由、スウェーデンのストックホルム、ギリシャのアテネ、イスタンブール、ロンドンと、ヨーロッパ中を駆け回り……そして東京へ。
新都フィルハーモニー/リハーサル
新都フィルは、真澄ちゃんや高橋くんも在籍するオーケストラ。
千秋との再会を喜ぶ間もなく、リハーサルが始まります。
演目は、ボロディンの歌劇「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊り」。
昨年末(2007年12月31日)、恒例のベルリン・フィル・ジルベスター・コンサート(サイモン・ラトルの指揮)でも演奏されていました。コンサートで演奏されているのは、作曲者の死後、オーケストレーションの達人・リムスキー=コルサコフによって補完編曲されたもので、管弦楽のみでの演奏版と、混声合唱団を加えた版があります。
推薦盤は、もちろん合唱付きのストコフスキー!
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チャイコフスキー:ロシア管弦楽曲集レオポルド・ストコフスキー指揮
チャイコフスキー:大序曲「1812年」
ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」ダッタン人の踊り
ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」の音楽
チャイコフスキー:スラヴ行進曲 1966-68年 ステレオ録音 Decca |
この際だから、ご贔屓演奏家・楽団の「だったん人」をみんなまとめて出しちゃいましょう。
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リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ボロディン: Deutsche Grammophon 1967-70年 ステレオ録音 |
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リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
ユージン・オーマンディ 指揮
ボロディン: RCA/BMG 1972年 ステレオ録音 |
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剣の舞:珠玉のオーケストラ名曲 第2集
アーサー・フィードラー 指揮
1. つるぎの舞い(ハチャトゥリアン) |
新都フィルハーモニー/東京公演
風邪でダウンしたシュトレーゼマンの代役で、千秋真一、東京でプロ・デビュー。
演目は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番 ニ短調。
これは昔も今も、2番も3番も、アシュケナージが一番人気ですね。
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集
ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ)
1. ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 op.1 1970-71年 ステレオ録音 Decca(2枚組) |
アシュケナージには、同曲をラフマニノフ本人と初録音したこともあるユージン・オーマンディとの共演盤もありますが……オーマンディ指揮のレコードだったら、ホロヴィッツとのライヴ録音が素晴らしい出来映えであります。
なにしろピアノの名手だったラフマニノフ本人が、ホロヴィッツの第3番を聴いて、「もう自分で演奏する自信がなくなった」と感嘆したほどの練達です。以前出ていたCDは、音がぼやけ気味だったけど、新しくデジタル・リマスタリングされた盤はクリアになっていると聞いて、早速買い換え。大正解でした。
演奏後はCDだってことを忘れて、「ブラボー!」って叫びたくなりますですよ!
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番
ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ)
1. ピアノ協奏曲 第3番 1978年 ステレオ録音 RCA/BMG |
ラフマ第3番のライヴ録音で、もう1枚。
忘れちゃいけないアルゲリッチ。このCDはチャイコフスキーのコンチェルトのときもご紹介しましたが、再度登場。
指先から火を噴き出してるんじゃないかと思えるくらい白熱の演奏。
炎の女アルゲリッチ、恐るべし。
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ラフマニノフ&チャイコフスキー:ピアノ協奏曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Philips |
見事、プロ指揮者デビューを果たした千秋真一。
無事に苦難を乗り越えられたみたいでなによりでございます。
次のステップに向かって前途有望な千秋とは対照的に、どん底に沈んでゆく野田恵。
次回は(本当に)SP第2夜、のだめ受難篇。
これまでロクに勉強してこなかったのだめが、異境の地パリでもがき苦しみます。
本日はこれまで。こまんたれぶ〜。