はじめてのクラシック(チョイジミ編)
これからクラシック音楽を聴いてみようという方へ、入門ガイド的ディスクを10枚紹介します。ここに並べた10枚のCDは、発売以来(地味に)トップセラーを続けている超名盤ばかりです。
誰もが一度は聴いたことのある超有名曲を厳選しました。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番&第21番
フリードリヒ・グルダ(ピアノ独奏)
1. ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466 |
哀愁の第20番とエレガントな第21番。モーツァルトの人気ピアノ協奏曲をカップリングしたベストセラー・アルバム。グルダの閃きに富んだ多彩なテクニックばかりでなく、アバド&ウィーン・フィルの強靱でしなやかな演奏も百点満点の出来映え。
第21番の第2楽章は、映画「短くも美しく燃え」でも使用されヒットしました。秋の水面にキラキラ輝く波光のように、美麗かつ繊細なピアノの調べ。
ベートーヴェン:ピアノソナタ 「悲愴」「月光」「熱情」エミール・ギレリス(ピアノ)
1. ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」
1980年 デジタル録音(1,2) |
ベートーヴェンの3大人気ピアノソナタ「悲愴」「月光」「熱情」を1枚に収録。鋼鉄のピアニストと呼ばれたギレリスの、リリシズムあふれる正攻法の演奏。
交響曲的なスケールの大きな演奏がお好きな方には、バックハウスをお薦めします。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番&第5番「皇帝」
アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ(ピアノ独奏)
1. ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」 |
壮年期を迎えたベートーヴェンの自信に満ちた、高貴かつ華麗なるピアノ協奏曲。
堂々たるミケランジェリの「皇帝」に、ただ平伏すばかりであります。
メンデルスゾーン&チャイコフスキー:VN協奏曲
ナタン・ミルシティン(ヴァイオリン独奏)
1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 |
メンチャイってご存知ですか? LPレコードの時代より、人気のヴァイオリン協奏曲(メンデルスゾーンとチャイコフスキー)をカップリングしたディスクがたくさんリリースされてきました。この組み合わせだと売れ行きが伸びるそうで、作曲者の略称をくっつけて、通称「メンチャイ」と呼ばれております。ミルシティン&アバドのメンデルスゾーンは、情緒に流されない端正で格調高いものになっています。チャイコフスキーも暴れのない、抑制の利いた節度ある演奏。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
別れの曲:ショパン名曲集ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ)
1. ワルツ第1番変ホ長調op.18「華麗なる大円舞曲」 |
ピアノを習ったことのある人も、ない人も、一度は耳にしたことのあるショパンのピアノ曲。レコード・アカデミー賞を受賞したアシュケナージのピアノ全集からのピックアップなので、とりあえずショパンを1枚、という方には100パーセント満足してもらえると思います。人気の有名曲だけを集めたお徳用盤。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン独奏) 1969年 ステレオ録音 (EMI) |
俗に3大ヴァイオリン・コンチェルトと称されているのは、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス。これにチャイコフスキーを加えて、4大ヴァイオリン・コンチェルトと呼ばれることもあります。第2楽章(アダージョ)の冒頭、オーボエで提示されたメロディが独奏ヴァイオリンに受け継がれていくところなど、抒情的な美しさに心奪われそうになっちゃいますね。巨匠オイストラフの4回目の録音。セルのサポートも完全無欠。押しも押されぬ名曲名盤であります。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ラロ&サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン独奏)
1. ラロ:スペイン交響曲 |
ヴァイオリン協奏曲が続きますが……超個人的に大好きなサン=サーンスの第3番。特に第2楽章の天国的な美しさときたら、もう桃源郷の心地よさ。美音のテクニシャン、イツァーク・パールマンのヴァイオリンが……筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。
カップリングのラロ「スペイン交響曲」は交響曲と命名されてますが、実際は全5楽章のヴァイオリン協奏曲であります。色彩感豊かなスペイン風リズムのカンタービレ。決してズドーンと重くて暗い曲ではありません。(←漫画「のだめカンタービレ」でそんな説明をしているセリフがあったので、ファンの私はとても憤慨してます!)
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
スメタナ四重奏団
1. 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調op.96 「アメリカ」 |
弦楽四重奏曲というと、交響曲や管弦楽曲と比べてなんだか手を伸ばしにくい感じがして、つい食わず嫌いになってしまう私ですが……ドヴォルザークの「アメリカ」なら大丈夫。メロディは素朴でとびきり親しみやすいし。音楽授業の教材にもなってますから、どなたも1度は耳にしたことがあるはず。完熟の名演として高い評価を得ている、スメタナ四重奏団の5回目の録音。
ラフマニノフ&チャイコフスキー:ピアノ協奏曲
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ独奏)
1. ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18 |
ロシア産2大ピアノ・コンチェルトを、巨匠リヒテルの演奏でカップリングした空前絶後の名盤。どちらも甲乙つけがたい人気曲なので、膨大な数の録音盤がありますが、この1枚は向かうところ敵なし。ラフマニノフの壮大なスケール感と仄暗い情熱。指揮者(カラヤン)との壮絶な戦いが繰り広げられるチャイコフスキー。両曲ともに半端じゃありません。長く名盤として語り継がれてきただけのことはあります。
ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー
レナード・バーンスタイン指揮 (ピアノ独奏/1)
1. ラプソディー・イン・ブルー |
初期のレナード・バーンスタインを代表する名盤。颯爽とピアノも弾いている「ラプソディー・イン・ブルー」と「パリのアメリカ人」は、覇気に満ちていまなお新鮮。当時ジャズ・ピアニストとして活躍していたアンドレ・プレヴィンによる「ピアノ協奏曲」もオマケ収録されていて、これ1枚でガーシュウィン管弦楽曲がたっぷり愉しめます。
チョイ地味を謳ったわりには、今回も割と派手な選曲になっちゃいましたね。次回はうーんと反省して、モテるオヤジはこれを聴く、シブ好み編をお届けします。
ついでにこちらもどうぞ。→ はじめてのクラシック(シブオヤジ編)